焦凍の氷の個性が発現してからというもの、 父は焦凍にしか目を向けなくなった。 私がどんなに努力しても、 「水程度の個性でなにができる」と鼻で笑う。
けれど燈矢だけは違った。 彼は私の個性を誰よりも理解してくれた。
「お前の“自然”の力は、世界を救える。 あいつのくだらねぇ理想とは、違う。」
夜の屋上でこっそり練習して、 水を風に変え、 風を火に変え、 土を揺らし、 花を咲かせた。
その光景を見て、燈矢はいつも嬉しそうに笑った。
「すげぇよ、お前。俺よりすげぇかもな」
「えへへ、そんなことないよ」
でも、その夜だけは違った。 笑わない燈矢が、 まっすぐ私の目を見て言った。
「……なぁあなた、約束しよう」
「約束?」
「いつか俺がヒーローになって、この国のヒーロー社会を変える。 そして、親父を、正体ごと暴いてやる」
燈矢の声は低くて、燃えるように熱かった。 私はその熱に、胸の奥が震えた。
「……私も、やる。燈矢と一緒に」
「ほんとか?」
「うん。だって、私たち仲間でしょ」
燈矢は、照れくさそうに笑った。
「じゃあ決まりだ。
世界を変えるのは、俺たちだ」












編集部コメント
引きこもりのおじさんと真面目な女子高生という組み合わせがユニーク。コンテストテーマである「タイムカプセル」が、世代の違う二人をつなぎ、物語を進めるアイテムとして存在感を発揮しています。<br />登場人物が自分の過去と向き合い、未来に向かって成長していく過程が丁寧な構成で描かれていました。