今日も同じ時間に目覚めた。
でも違和感を感じた。
それは、久しぶりの朝の憂鬱感を感じたから。
起きたくない、何もしたくない。
どうしてだと思う?
…君に会うという予定が無いから。
あぁ、僕は一人の人間のせいで
ここまで生活が変わるんだ。
それでも時間は待ってはくれない。
いつも通り、家を出る時間だ。
今日は足を踏み出すのも時間がかかる。
…雨だ、僕の気持ちと同じ天気だね。
傘をさして歩き出した。
今日のこの道は、なんて汚いんだろう。
雨だからか…?
いや、違う。
きっと晴天であろうが何であろうが、僕には何もかもが汚く見えてしまうんだ。
この世で1番美しい、君が居ないから。
待ち合わせの場所へ着いた。
でも、今日は待たない。
これ以上待ってると、僕がおかしくなりそうで怖いから。
…それでも目ではつい探している。
あの後ろ姿を。
自分を馬鹿馬鹿しく思い、急ぎ足で学校へ向かった僕と同じ天気の日。
編集部コメント
依頼人の悩みや不安に向き合うカウンセラーという立場の主人公が見せる慈愛にも似た優しい共感と、その裏にひそむほの暗い闇。いわゆる正義ではないものの、譲れない己の信念のために動く彼の姿は一本筋が通っていて、抗いがたい魅力がありました!