※学パロです
俺には好きな人がいる
今まで一度も恋して来なかった俺の心を、
いとも簡単に奪ってしまった華のような女の子
そんな子と、今年初めて同じクラスになれたんだ
時は二年前
高校の入学式の日
元々仲良かった八人で同じ高校に上がって、
その中でもとりわけ仲のいいマナに
「紹介したい人がいる!」と呼び出された
赤城、という苗字には聞き覚えがあった
マナの隣にいる少女は、
ウェンと似た雰囲気を放っている
まぁ、何でその場にウェンはいないんだとは
思ったけど……どんな形であれ、
あなたの下の名前ちゃんと出会えた事には感謝だ
一年の時は別クラス
二年の時も別クラス
そして運命の三年では、
見事同じクラスになれたんだ
出席番号も一番と二番で、席は前後
これからの学校生活に想いを馳せていると、
ガラリと扉が開いて……見慣れた頭が、「二つ」
この二人は好みや趣味が合うようで
ものすごく仲が良く、
ウェンによると
二人だけでゲームのグッズを買いに行ったりとか、
コラボカフェとかによく出掛けているらしい
ロウはモテる
人が多い時に登校すれば
一瞬で女子に囲まれるし、
それで十分くらい足止めを食らうこともある
そしてそれと同じくらい、
あなたの下の名前ちゃんもモテるんだ
だからこの二人が仲良くなった時、
付き合ってる説が浮上した
もちろん付き合ってなんてなかったから、
二人はすぐに否定していたけど………
その様子を見ている俺は、
何一つ面白くない
あなたの下の名前ちゃんの手の上に、
百円玉と五十円玉がポンと置かれる
その際に二人の手が微かに触れて…
嫉妬の感情が心を支配して、
あなたの下の名前ちゃんの手を握って引っ張った
…二人の顔が赤かったのは、見ないふりをして
えへへ、と頬を赤らめて
嬉しそうに話すあなたの下の名前ちゃんが可愛い
ダメだ、聞くな
そんな事聞いたって、
俺の望む答えなんか返ってこないに決まってる
それなのに、小さすぎる希望に縋るようにして
口からはポロッと言葉が出てきた
月日が流れるのは早く、
大学受験も無事に終えて卒業式の日になった
俺達八人は相変わらず仲が良く、
バカみたいに騒ぐようなあの関係が、
今もずっと続いている
シンと静まり返った校舎の中を、
息を切らしながら駆け回る
…自販機の前で聞いた言葉の答えは、
返ってくることは無かった
戸惑うような声が聞こえたと共に、
予鈴のチャイムが鳴り響いたからだ
もしかしたら、
そこでハッキリとした答えが返ってきていたのなら
さっき、あなたの下の名前ちゃんが校舎の中に
入っていくのが見えたから、必死に探し回る
最後のチャンスだ
図書室にも体育館にも、教室にもいなかった
ふと窓の外の中庭を見てみると…
探し求めてた、恋焦がれている女の子、と…
桜の舞う世界の、桜の木の下で、
二人の男女が結ばれた
醜い本音と、
ドロドロとなった恋心を笑顔の下に隠して
祝福の言葉を投げかける
胸が締め付けられる程に痛い
心臓が、悲鳴を上げている
互いに絡みついた二人の指
明らかに近くなっている二人の距離
俺に向けるのと全然違う、二人の甘ったるい目
素直に喜ぶ事が出来ない
あなたの下の名前ちゃんが、ロウが、こんなにも幸せそうなのに
俺は自分で思っているより、
彼女の事が好きだったのかもしれないな
……え、こんなんで大丈夫なんですか………??










編集部コメント
主人公は鈍感で口下手ではあるものの『コミュ障』というほどではないので、キャラの作り込みに関しては一考の余地があるものの、楽曲テーマ、オーディオドラマ前提、登場人物の数などの制約が多いコンテストにおいて、条件内できちんと可愛らしくまとまっているお話でした!<br />転校生、幼馴染、親友といった王道ポジションのキャラたちがストーリーの中でそれぞれの役割を果たし、ハッピーな読後感に仕上がっています。