夜の静寂が、UNDEADのステージに重く沈んでいる
プロデューサーとしてのデスクワークを終え、
私が最後に確認するのは、一人のアイドルから届くメッセージだった
『帰り道は凍えぬよう、気をつけるのじゃよ』
画面越しでも、朔間零の低く艶のある声が再生されるような気がした
彼はいつも、私を慈しむように言葉を紡ぐ
過保護な隠居じみた優しさで、私の輪郭をなぞるように
けれど、その完璧な気遣いのあとに、決まって
『それ』は届く
――『あ』
たった一文字
通知のポップアップに浮かぶ、意味を成さない文字の断片
指先で画面をスクロールすれば、過去の履歴にも同じような『ノイズ』が混じっていることに気づく
『だ』、『い』、『し』
業務連絡の末尾に、あるいは何気ない挨拶の後に、
ぽつり、ぽつりと落とされた一文字の落とし物













編集部コメント
依頼人の悩みや不安に向き合うカウンセラーという立場の主人公が見せる慈愛にも似た優しい共感と、その裏にひそむほの暗い闇。いわゆる正義ではないものの、譲れない己の信念のために動く彼の姿は一本筋が通っていて、抗いがたい魅力がありました!