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第1話

一話:落とし物
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2026/03/09 09:35 更新





夜の静寂が、UNDEADのステージに重く沈んでいる


プロデューサーとしてのデスクワークを終え、


私が最後に確認するのは、一人のアイドルから届くメッセージだった






『帰り道は凍えぬよう、気をつけるのじゃよ』



画面越しでも、朔間零の低く艶のある声が再生されるような気がした


彼はいつも、私を慈しむように言葉を紡ぐ


過保護な隠居じみた優しさで、私の輪郭をなぞるように




けれど、その完璧な気遣いのあとに、決まって



『それ』は届く























――『あ』








たった一文字


通知のポップアップに浮かぶ、意味を成さない文字の断片








(なまえ)
あなた
⋯⋯また、打ち間違い?




指先で画面をスクロールすれば、過去の履歴にも同じような『ノイズ』が混じっていることに気づく




『だ』、『い』、『し』




業務連絡の末尾に、あるいは何気ない挨拶の後に、


ぽつり、ぽつりと落とされた一文字の落とし物





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