浮かんでいく。
深い深い眠りの底に沈んでいた
ボクの意識が浮かんでいく。
突然現れた物体を水中で眺め。
手を伸ばし、掴もうとして、
その物体を掴もうとする手を止めた。
ーーあぁ、ああ。
空気が。
光が。
声が。
幾年月を経て感じられるそれらが、
今はただただ強い刺激でしかなく。
未だ虚ろのカーテンに閉ざされ、
青く輝く水中にいる
ボクの意識をこじ開けていく。
「ーーぐっ!?ごほっ、ごほっ!」
緩やかに訪れた目覚めは、
突然の違和感……いや、
呼吸の出来ない水中の中で引き摺り出された。
「ーーぐっ!ごぼ、ごほ!?」
( ーーなんで!水中の中にボクがいる! )
呼吸ができない。
呼吸を一つしようとするたび、
水が口の中に入り込み、背筋に冷たいものが走る。
まるで死神に背中を撫でられているかのように。
これは……そう、命を削っているような感覚だ。
壊れそうなほど軋む臓腑。
悲鳴を上げる生存本能。
( ーー何度も経験しても、死は、怖い。)
( ーー何度も……何度も経験しても? )
呼吸が落ち着いた。
指一本動かすことさえ嫌なほど憔悴した、
身体を水中の外に投げ出した。
ーーザバアァアア!!
「ーーごほっ!ごほ!」
水を口から吐き出し、
自分が入っている湯船を見つめる。
「ーー落ち着きましたか?」
ようやく周囲に気を配る余裕ができた時、
すぐ近くで男の声がした。
「…………」
視線を向けると……よく知っている
浮遊している機械がいた。












編集部コメント
主人公は鈍感で口下手ではあるものの『コミュ障』というほどではないので、キャラの作り込みに関しては一考の余地があるものの、楽曲テーマ、オーディオドラマ前提、登場人物の数などの制約が多いコンテストにおいて、条件内できちんと可愛らしくまとまっているお話でした!<br />転校生、幼馴染、親友といった王道ポジションのキャラたちがストーリーの中でそれぞれの役割を果たし、ハッピーな読後感に仕上がっています。