第63話

聞きたくない声
2
2024/06/08 12:52

あれからどれくらい経っただろうか。
それでも結局頭の中を巡るのは解になりえないもやだけ。


葉が揺れる音
ステラ・ユハン
ステラ・ユハン
はぁ...なんで俺が
 足音とともに、不機嫌そうな猫がやってくる
夜蘭
夜蘭
・・・ユハン、先輩
ステラ・ユハン
ステラ・ユハン
・・・なんだ?改まって。無駄に遊んでたんじゃないだろうな。
苛つく

こんなに悩んでいるのに、この感情が健在だとは
ステラ・ユハン
ステラ・ユハン
言っとくがな、難しい役に悩むのはお前だけじゃない。役者全員が通る道だ。1度上手くいったからって自惚れてんじゃねえ
ステラ・ユハン
ステラ・ユハン
だいたいw
そのあざけるような声に、堪忍袋の緒が切れる 

というか、それに気づく暇もなく、胸ぐらを掴みかかっていた
夜蘭
夜蘭
...るっさい...!!
ステラ・ユハン
ステラ・ユハン
っ、がッ...!この、顔とコネと才能だけで生きてきたやつだ、さすが、すぐに暴力とはな・・・っ、
言葉が出ない、こんなになったのは初めてだ

今まで、少なくとも俺には味方がいた。

でも今は、父様も母様も、ハイクリフも、杏里も...
夜蘭
夜蘭
.....っ!ざけんなこのクソガキ!!!!
ステラ・ユハン
ステラ・ユハン
くっ、は、何が違う?俺は努力してきた、報われずとも、打開して。なのにお前はこんな単純なことで、っ、
片手で首を絞め、軽く持ち上げる
夜蘭
夜蘭
簡単な...事だと...?俺が才能だけでやってきたとでも...!?
宙に上げ首を掴んでいたユハンから力を抜き、
へたりと地面に下ろす
夜蘭
夜蘭
....じゃあなんだ?なんで俺は...芝居すらまともにできねえんだよ!!
違う、こんなこと言いたいわけじゃないのに
ステラ・ユハン
ステラ・ユハン
...の、ゴミ野郎。
っ、分かり合えたと思ってたのに...!
ユハンは俺をののしり、
小声で何かを呟きいた後、元の方角にかけ出す
そうして、1人になって冷静になり。

自分がありえない事をしてしまったと気づく

そして、己がこんなに切羽詰まっていたということにも、今初めて気づいてしまった。
夜蘭
夜蘭
........っ、クソ
...また葉音が鳴る


まさか戻ってきて!

と振り返るも、そこにユハンは見当たらない。

代わりにそこに佇むのは、
絶妙な笑顔で迎える1人の男だった
霧隠・ハイヴ・アストロニア
霧隠・ハイヴ・アストロニア
彼の言うとおり。
有り得ませんでしたね、さっきのは。
耳が痛い

あんまりにもその通りなもんだから、何にも言い返せなくなる
夜蘭
夜蘭
ハイヴ...
霧隠・ハイヴ・アストロニア
霧隠・ハイヴ・アストロニア
ちなみに、捕まえてますよ
うっ、とうなったような声が聞こえ、
ハイヴが「それ」をあげてみせる。

すると、ハイヴがユハンを担ぎあげているのが見えた
ステラ・ユハン
ステラ・ユハン
っ、離せッ!!!
夜蘭
夜蘭
・・・っ、ハイヴ、離してくれ、
霧隠・ハイヴ・アストロニア
霧隠・ハイヴ・アストロニア
離しません
混乱する

何でこいつがこんなことをするのか、わからない

無言でいると、ハイヴがぼそりとなげ
霧隠・ハイヴ・アストロニア
霧隠・ハイヴ・アストロニア
ほら、ユハンさん。
言いたいことがあったんでしょ
ステラ・ユハン
ステラ・ユハン
っ、ねぇよ!んなもん、こいつが!
ステラ・ユハン
ステラ・ユハン
....
猫が何かを思い出したように、萎んでゆく

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