バシュッ、バシュッ、バチンッ!!
なんなんだ、なんなんだこいつは。
朱玲は頭の片隅で、そんなことを考えていた。
彼の事を外へ引っ張ったと思ったら、奏夜は何も言わずに続きを初め出したのだ。
傍から見れば、意味不明な行動である。
―――
同時刻、オリの中では皆が見守る中で、桜と十亀がケンカをしていた。
―――
ドカッ、ドカッ、ズザァァ...
俺は言葉を遮る様に、拳を振るい足蹴りを繰り出した。
それなのに、目の前のこいつははずっとそれを避けるばかり。
朱玲が叫び声をあげる中で、奏夜の様子はいつもと何一つ変わらない。
そんな余裕そうな彼に、何時もの余裕すら見せられない自分に朱玲は苛立ちを募らす。
---
「「何がしてぇんだよ/たいんですか?」」
とがさんも、とみさんも、すごく優しい人だと思う。
仕事だ仕事だと言って、お金だけ振り込むばかりで中々帰って来ない両親。
親に見限られたと嘲笑ってくるクラスメイト。
そんな状態が為に、俺は何時も独りだった。
でも別にこれが普通だと思っていたし、苦ではないと思っていた。
...そんなある時、横を素通りしただけで金をスられたとか言い出した不良に絡まれて、
対処してたものの攻撃を受けそうになった時。
バコーンッ!!
俺を、助けてくれたのが
とみさんと、とがさんだった。
二人は、俺にとっての太陽だった。
独りだった俺を、獅子頭連に勧誘して、傍に居てくれた。
とがさんは、太陽はとみさんだと言っていたけれど
俺からしてみれば、二人で一つの太陽で。
そんな二人が放つ陽の光の中に俺を入れてくれた事が、堪らなく嬉しくて。
そういう気持ちが強くなって。
お二人が頭取、副頭取になったら、このチームは必ず良くなる。
だからそこまで、サポートしよう。
そして
その姿を、一番近くで見れたなら...そう思っていた
けれど
ザァァァァ...
ガラガラピッシャーン!
「弱いヤツは...」
「皮を剥ぐのも、俺がやる。だからちょーじは...」
目を疑った。
夢かと思った。
止めに入らなきゃ、っとも思った。
なのに
近くに居たのに、拒絶されるのが怖くて、
また一人になる事が怖くって、
...太陽が闇に覆われるのを、見てるしか出来なかった。
”俺は逃げたんだ”
だから、せめてもと、お二人がこれ以上闇に隠れないように、俺が代わりを請け負った。
悠々とした態度を取り繕った。
とがさんより早く皮剥をやって、
情報伝達も、できる限り俺がやった
少しでも、優しいとがさんの負担を減らそうとした。
とがさんは、その時少し眉を顰めていたけれど、そんなの関係ない
とみさんが気を負うことがないように、悪い役は請け負うようにした。
それに、とみさん何も思っていない様子だった、けどそれでいい
何時か、
何時か、...闇が払われる事を願って。
俺は動いていた
そんな時、偶々見かけた、防風鈴との火種になりうる事件。
そしたらとみさんが食い付いて、俺を引っ張って行って、案の定タイマンすることになって。
嗚呼、これは何かを変えられるチャンスだと思ったのに
獅子頭連は、変わってしまっていた。
力を追い求め、真っ直ぐ進むチームじゃなくなってた。
でも、もう止まれない。
タガが外れた猛獣の様に、もう後先考えていられない
あの日逃げた俺には、もうこの選択肢しかない
今の獅子頭連を、前に進ませる以外の、方法なんて
自傷的な笑い声を上げながら、朱玲は片手で片方の顔を覆った。
突然の奏夜からの提案に、朱玲は少しだけ驚く
「大切な人を失いそうにな時の気持ちなんて...」
そう呟いた瞬間、朱玲は奏夜に胸ぐらを掴まれていた
動揺し、けれど出来うる限りの抵抗を見せる彼を射抜く深紅の目は、怒りを孕んでいて。
朱玲の服を掴む奏夜の手は、手が白くなる程強く握り締める
悠々しい態度など、そこには微塵も感じられなかった。
朱玲の目に映ったのは、怒り、何処か悲しそうに声を荒らげる奏夜の姿のみ。
ドカァン!
ズザァァァ...
叫んだ奏夜は、朱玲の腹を思いっ切り蹴り上げ吹き飛ばした。
地面に転がされた朱玲は息を少し整えつつ、楽しそうに笑い出す。
そして、スっと立ち上がると...
一瞬にして距離を詰め、奏夜に膝蹴りを当てた。
―――
ブオンッ、ガシッ、ドカッ、!!
力一杯拳を振るって、足で蹴り上げた。
それに応えるように、奏夜さんも力を振るってくる。
その顔には、少しの笑みが見えた。
...心地良い、向き合って、向き合い合う。
それが成立しているこの時間が
嗚呼、そうか
―――――――――
ザァァァァ...
パシャン、パシャン、
―――――――――
あの時も、こんな感じにしなきゃダメだったんだ。
殴られても、怒られても、向き合って、手を掴んで、声を上げれば良かったんだ。
そう思う朱玲本人も、奏夜と同じく明るい笑顔を浮かべていた。
スターンッ!
バコッ、バコンッ!
汗がパラパラト落ちていく、二人共、鼻から、額から、血も流している。
でもその顔は、幸せそうだった。
バーンッ!!
ドサッ、
満足気に言いながら、倒れていた身体をムクっと起こし、立ち上がる。
そして鼻血を手で拭った後、頭を下げた
朱玲VS奏夜
勝者...奏夜
試合を終え、奏夜と朱玲が会場へ戻る。
すると丁度よく、あちらもこちらも決着が着いた様だった。
降参という様に、地面に背を付けたまま手を振る十亀の顔は
何かが吹っ切れた様な、幸せそうなものだった
十亀VS桜
勝者...桜遥
◇To be continued◇
投稿ペース遅くてすみません!
あとお気に入り登録50突破ありがとうございます!!














編集部コメント
引きこもりのおじさんと真面目な女子高生という組み合わせがユニーク。コンテストテーマである「タイムカプセル」が、世代の違う二人をつなぎ、物語を進めるアイテムとして存在感を発揮しています。<br />登場人物が自分の過去と向き合い、未来に向かって成長していく過程が丁寧な構成で描かれていました。