事務所を出て、駅のホームで新幹線を待つ。
「 送ってくよ 」と言って けーごも着いてきたので
今は、私と常闇、けーごの3人だ。
常闇にそう言われて、心臓が飛び跳ねた。
でも確かに、職場体験はもう終わったというのに
今が1番ソワソワしている。
それは紛れもなく、
"帰ったら好きと伝える"
という最重要任務があるからだ。
思い返せば、何故すぐに
"好き"と伝えられなかったのか、
その理由は、前からずっと不安だったこと。
___"大切"になればなるほど、
失った時、自分が辛いから。___
けーごを殺された あの日。
公安に拾われていなければ、
この人が"大切"になっていなければ…
こんなに苦しくならなかったんじゃないかと。
あの日、そんなことを永遠に考えていた。
___…でも、得るモノは苦しみだけじゃない。
それ以上に 幸せで「 よかった 」と思えるモノが
数えきれないほど あることを
キミが教えてくれたから。
この続きを伝えるために
ただ、気持ちを落ち着かせるために
目を瞑って、深く息を吸った。
ゆっくりと目を開けると、
そこはいつも通りの世界で、
人の声、足音、電車の音がする騒がしい駅のホーム。
けーごの声も、仕草も変わらない___…
"いつも通りの世界"
そこで帰りまで待てない私は、
けーごに告白の返事をする。
___はずだった。
目に映る世界に言葉が出なかった。
人の声、足音、電車の音…
何もかもが聞こえない。
それどころか、
私以外、誰一人として動いていない。
___…まるで、私が時間を止めた時のように。
息が上手く肺に送れない。
体中から汗が止まらない。
私の目に映っているのは
けーごを殺したあの女が銃を撃つ直前で、
その先にいたのは、静止した けーご。
動かなきゃ、私にしか救えないのに、
声も、足も、震えてしかいない。
嫌に決まってる。
貴方に殺されるから、私は死に戻ってるんだ。
女の持つ銃に手を握らせられ
けーごの胸に女はそのまま銃を突きつけた。
バンッ___…















編集部コメント
依頼人の悩みや不安に向き合うカウンセラーという立場の主人公が見せる慈愛にも似た優しい共感と、その裏にひそむほの暗い闇。いわゆる正義ではないものの、譲れない己の信念のために動く彼の姿は一本筋が通っていて、抗いがたい魅力がありました!