第33話

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2025/11/09 13:27 更新


ある日、お社のすぐ側に真っ白な狐を見た。


真っ白、と断言するには血に濡れていて、泥や枯葉が体にまとわりついているが…





ただ私はそれを、真っ白。と思うことにした。

____
…お社に入りな、
そんな怪我ならあの神も許してくれる
きつね
フニャァ、ァァァッッ
____
…ふにゃあ??


お社の中は比較的家というものよりは狭く、小さい。



けれど中では自分なりに布団を用意したり、山で子供になにかあった時のために人間のための塗り薬などを置いていた。

それを動物に使って良いのか、私は軽く頭を捻ったけれど…使った!!!!!!!


だってどうもこうもいかないし!!!!!!!!



____
痛い?
良くなるといいけど…
きつね
フキュニャキュキユキュ…キュィンッ
____
なんだその鳴き声

呑気に笑いながら、その狐との日々は過ぎていった。



どうやら最初に会った時に見た傷や血は、他の山でのものらしい。

狐のからだからでてきた弾丸や石の破片は、ここら辺でよく見るものとは違っていた。




狐を狩る、そういう仕事をする人間もいるものだ。


今は、そういう時代らしかった。





















____
忘れてたけど
やっぱ真っ白なんだね、珍しい
きつね
フニャァ、
____
んふふ、くすぐったぁ
鼻押し付けてくんなぁぁって、


戯れなのか、なにかの本能なのか。


その狐はよく私の顔に鼻を押し付けるようになった。



匂いを嗅いでいるのかな?なんて呑気に物を考えたけれど、そんなことないんだと、すぐ未来でそれを知った。


___
狐?
____
そう、こいつ…
真っ白の狐、珍しいよね



狐と過ごし始めてしばらく経った時、そういえば麓に行っていないと思い出して狐を連れて行った。




傷はもう治っていたし、麓のあの人なら狐を狩るようなマネはしないだろう。





きつね
フニャァッ
___
…へぇ、
こんなに白いのは初めて見ました
____
でしょー!
狐ってやっぱり肉食?
なに食べるのが正解なのか全く…
___
ならば本人に聞いてみては?
話せないわけではないでしょう

____
ん?狐は話せないよ?
いくら私の力を使ったって元の生態を変えることは…
きつね
……
___
どうやらそうではないらしいですよ



狐はなんだか私の腕の中でモゾモゾと体を動かし、地面におりたってこちらを見あげた。


あ、ちがうみたい。




わたしがそれまで考えていたような狐ではなくて…







あれ…そういえばわたしが守るお社の神様って……



____
…九尾の狐
きつね
フニャッ

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