ボクノバン … ?
その言葉の意味を理解した瞬間に
喋ろうにも上手く喋れないほど慌ててしまう
口を尖らせている私に
スッと右人差し指が添えられる .
そうだった … , ここはお店だ .
ついつい忘れちゃってた .
ごめんなさいと心で呟きながら小さく頭を下げる .
顔を上げると
わしゃわしゃと頭を撫でられた .
髪が崩れるとかそんなことよりも
その事実に瞬きが多くなる .
… なんかシュアの妹になったみたい
少し顎に手を添えられて
目の前にケーキが近付いてくる .
さっきまであった羞恥心を捨ててパクリと食べる .
2度も間接キスをしていることに
気付くのはまだ先の話 ______ .
編集部コメント
依頼人の悩みや不安に向き合うカウンセラーという立場の主人公が見せる慈愛にも似た優しい共感と、その裏にひそむほの暗い闇。いわゆる正義ではないものの、譲れない己の信念のために動く彼の姿は一本筋が通っていて、抗いがたい魅力がありました!