第14話

#14 文化祭
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2026/08/06 05:13 更新
文化祭当日。

——

朝から学校はお祭り騒ぎだった。

廊下には飾り付け。

教室から聞こえる音楽。

みんなテンション高い。

——

なのに。

私は全然落ち着かなかった。

——

理由?

聞くまでもない。

——

湊。

——

昨日、

階段から戻ってきた時のことが頭から離れない。

白石さんと二人だった。

何を話してたのかは知らない。

でも。

気になる。

気になって仕方ない。

——

「葵ー!」

友達に呼ばれる。

「看板お願い!」

「今行く!」

考えるのをやめる。

今日は文化祭。

今はそれだけ。

——

開場。

お客さんがどんどん入ってくる。

教室は大盛況。

気づけば、

昼休憩になるまでほとんど湊と話せなかった。

——

でも。

ふとした瞬間。

視線を感じる。

——

見る。

湊。

——

目が合う。

——

数秒。

——

そして。

どちらからともなく逸らした。

——

なんなの。

もう。

——

昼過ぎ。

ようやく少し休憩が取れた。

廊下の自販機で飲み物を買う。

——

その時だった。

——

「朝倉くん。」

——

聞こえた声。

——

白石さん。

——

思わず足が止まる。

——

角の向こう。

姿は見えない。

でも声は聞こえる。

——

行かなきゃ。

聞いちゃだめ。

——

そう思うのに。

足が動かない。

——

「文化祭終わったね。」

白石さんの声。

少し笑ってる。

でも。

少し震えてる。

——

「ああ。」

湊の声。

——

静か。

——

「約束覚えてる?」

——

心臓。

嫌な音立てる。

——

『文化祭終わったら、ちゃんと告白する。』

——

あの日の言葉。

蘇る。

——

「……覚えてる。」

湊。

——

その瞬間。

全部わかった。

——

告白だ。

——

聞きたくない。

でも。

逃げられない。

——

「好き。」

——

白石さん。

——

まっすぐだった。最後まで。

——

「本当に好きだった。」

「最初から。」

「今も。」

——

沈黙。

——

長い。

苦しい。

——

そして。

湊が口を開く。

——

「ごめん。」

——

息が止まる。

——

「俺。」

少し間。

——

「好きな人いる。」

——

世界が静かになる。

——

「……そっか。」

白石さんは笑った。

——

泣いてるのに。

笑ってた。

——

「知ってた気もする。」

——

沈黙。

——

「葵ちゃん?」

——

ドクン。

——

聞いてしまった。

——

返事。聞きたくない。

聞きたい。

——

矛盾だけど。

——

数秒。

——

そして。

——

「うん。」

——

頭、

真っ白になった。

——

聞き間違いじゃない。

——

絶対。

——

「そっか。」

白石さんは小さく笑う。

——

「負けたなぁ。」

——

その声。


今にも泣きそうだった。

——

「でも。」

少しだけ間。

——

「ちゃんと幸せになってね。」

——

白石さんらしい。

最後まで。

——

強かった。

——

「ありがとう。」

湊が言う。

——

そして、足音。

——

二人がこっちへ来る。

——

やばい。

——

私は慌てて近くの曲がり角へ隠れた。

——

心臓がうるさい。

——

聞いてしまった。

——

湊の好きな人。

——

私だった。

——

信じられない。

——

だって。

ずっと。

勘違いかもしれないって思ってたから。

——

『特別なの?』

——

白石さんの言葉。

——

『勘違いしてるだけじゃない?』

——

違った。

——

違ったんだ。

——

気づいたら。涙が出ていた。

——

今度は。悲しくてじゃない。

——

嬉しくて。

——

でも。

——

どうしよう。

——

明日、どんな顔で会えばいいの。

——

その答えは。

まだわからなかった。

——

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