スンミナが飛び出してしばらく放心状態になってしまった
ずっと恐れていた事が起きてしまったから
避け続けた現実を知られたから
戸惑ったように俺はやっと立ち上がり家中を探すがスンミナはいない、もう朝の5時になるというのにまさか1人で外に……
追いかけたい気持ちは山々だが、きっと今俺が行ったところでまだ取り乱してしまうだろう
どこに行く、この時間にキムスンミンは……
はっと俺はスンミナの友人の金髪を思い出し、スンミナと付き合い始めてから何かあった時のために連絡先を交換していたため
すぐに金髪に連絡を入れる
けれども金髪もスンミナの行方は知らないそう
妊婦の婚約者を1人で外に出させて
本当何をしてんだ俺は
なにも守れてないじゃないか
いや、俺は決めたんだ
2度と傷つけない、俺が支えて守るって
最初は償いのつもりだった
でも、そんな気持ちより大きく上回ってそれが主体となる気持ちが
好きという気持ちで
俺はずっと、キムスンミンの事が
好きで、大好きで
愛してるんだ
ースンミンsideー
泣きに泣き終えて、真っ赤な目のままヨンボガの目を見る
ヌナが死んだ時も、ヨンボガはずっと僕を支えてくれた
ずっと友達でいてくれた1人
ヨンボガは淡々とそう語る
僕に隠してた理由
4年間もずっと
振り返ると、あれもこれも思い当たる節はいくつもある
そのヨンボガの言葉に
僕の中でも気持ちが固まった
僕が心惹かれるのは………リノヒョンを1番よく分かってるのは………
リノヒョンは嘘をつくような人じゃない
ちゃんと、ちゃんと何かを守れる人なのも
僕が1番、1番よくリノヒョンを知ってる
僕はそのままヨンボガの部屋を出た
謝りたかった、さっきはあのまま家を飛び出してしまって
リノヒョンだって言いたい事が沢山あるはずなのに
毎回毎回、僕だけが言いたい放題言って逃げ出すんだ
ちゃんと、リノヒョンの言葉も聞かなきゃ
ごめんね、いつも僕がリノヒョンの足手纏いで
僕がいつもリノヒョンを苦しめてたんだね、
僕の存在が、リノヒョンを……
お腹を抱えて、マンションを出てどっちに走り出そうか立ち止まってしまう
リノヒョンの家にはどっちから行ったら……
そう外に出たところにはまだ車の中にいたジウンさんが僕の右手側にいて
ジウンさんが僕の後ろを見て立ち止まるから
僕は左手側を振り返ると
リノヒョンが息を切らして立っていて
僕は頭を下げて謝り
振り返ってそのまま左側に駆け出した
ぎゅうっと強くリノヒョンに抱きつき体温を感じる
こんなに感情をさらけ出して必死なリノヒョンを初めて見た
これが本来のリノヒョンの姿なんだろう
あのリノヒョンが本音をボロボロ溢して
僕をまた強く優しく、離さないというように抱きしめた
ーリノsideー
あの後、すぐに家を出てスンミナの家に向かった
けれどもそこにも居ず、車を降りて辺りを探し回った
金髪からも返事はないし、思いあたる場所を探し回り、金髪の自宅であろうマンションの前に着くと
何度か見たことのある車が停まっていて
中からあいつが焦ったように降りてきて入口の方向を心配そうに見つめていた
スンミナはあいつと俺を交互に見て
俺に背中を向けた
あぁ、終わった
スンミナが最後に選んだのはアイツだったか
いつも素直に正直に本音を伝えるあいつがスンミナには…
スンミナが頭を下げて謝る
そのままスンミナはこちらを振り返って、俺の方に駆け出してきて
そのまま俺の胸に飛び込んでくるのを、スンミナより早く腕を広げて抱き寄せた
泣いて謝るスンミナを強く抱きしめて、外だとか人がいるとかお構いなしに
もう逃げない、向き合うんだ
そう決めた心は曲がらないから
本当の本当の本音をちゃんと伝えて
手が震えるほど怖かった現実をスンミナに伝えて
スンミナも本心で俺を選んでくれたと、やっと安心できたんだ
心臓の芯から震えていたのも落ち着き始めて、2人本音をぶつけ合った後、顔を見て涙でぐしょぐしょのスンミナと目が合い
思わずフッと笑ってしまう
またスンミナの手を取り、俺はスンミナを車に乗せて自分の自宅に戻った
そのままちゃんとあの事故の資料をみながら1から説明をした
あの大学受験合格発表の日、お姉さんと同じ大学だったこと
番号がひとつ違いで隣にいたお姉さんを覚えてること
そのお姉さんとお母さんを俺が乗っていた車で轢いてしまったこと
その日に病院で初めてスンミナを見たこと、
面接に来た時も、すぐにスンミナだと分かったこと
全部を話した
それに返答できないでいると
スンミナはそっと俺を抱きしめて
スンミナは言葉を並べるようにひとつひとつ丁寧に
ゆっくり話して
なんてニコッと笑いながらお腹をさするスンミナの姿を見て
スンミナの口から"幸せ"って言葉を聞いて
今まで6年間鎖のように自分の肩に付いていた重さがフッと無くなった気がしたんだ
父親が死んでから
初めてこんな胸に込み上げてくる感情での涙が溢れた
毎回、感情的になってしまう原因はスンミナだった
この人の言葉で、表情で
愛する人をやっと、本当の自分で抱きしめられた



















編集部コメント
主人公は鈍感で口下手ではあるものの『コミュ障』というほどではないので、キャラの作り込みに関しては一考の余地があるものの、楽曲テーマ、オーディオドラマ前提、登場人物の数などの制約が多いコンテストにおいて、条件内できちんと可愛らしくまとまっているお話でした!<br />転校生、幼馴染、親友といった王道ポジションのキャラたちがストーリーの中でそれぞれの役割を果たし、ハッピーな読後感に仕上がっています。