you side
放課後、人気のない帰り道で
元貴が今日もクレームをいれてくる。
腕組んでむくれて仁王立ちしてる。
高校3年生、情緒3歳。
私たちは実は小さい頃からの幼なじみで、
今では彼氏彼女って感じになった。
でも、元貴と付き合ってることは誰も知らない。
ほんとに、誰も。
お互いの両親は知ってるけどね。
よく家来るし、行くし
でも、クラスメイトはもちろん…
元貴も私も仲良い若井と涼ちゃんでさえも知らない。
つまり、完全極密。
校内での私たちの会話といえば_____
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とか
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とか、こんな何でもない話ばかり。
だから、放課後人気のない帰り道を
歩いてる時に元貴は決まって_____
“なんで秘密にしてるの!!”
っていうクレームタイムが始まる。
私は ふぅ とため息をつく。
なんか、嬉しそうなのやめて欲しい。
口角飛んでいきそうなぐらいあがってるよ…
そう言った瞬間、元貴の顔が一気に明るくなる。
「ぱぁ✨️」って効果音聞こえてくる。
- ̗̀ ( ˶'ᵕ'˶) ̖́-←こんな顔で見つめられてる。
私は笑って、
元貴のマフラーを引っ張る。
そして、次の日。
朝からもちろん、嫌な予感はしてたよ。
なんか、ゾワゾワするなぁって………
そんなこと考えてたら、
休み時間急にドアが ガラッ って開いて____
来た。
しかも、なんかいつもより堂々としてる……
いつもならここで帰るのに、
今日は頑なに帰らない。
教室のドアのところで腕組んで立ってる。
目立つ。
目立ちまくってる。
そんな元貴を見て、
私の隣の席の若井がニヤニヤする。
なんでそんな堂々としてんの???
やばいなぁって思ってたら、
若井の目がキラって光る。
一瞬、空気が止まる。
この言葉を、私は1番恐れていた。
ほんとに今後一切、
元貴と若井を2人きりにしたらダメだ……
何を言い出すかわからない。
私が全力で被せたら、
元貴、口半開きで固まってる。
若井は謎に爆笑してる。
元貴がめちゃくちゃに、じーってこっちみてくる。
“裏切り者!” って今にも言い出しそうな目。
廊下から涼ちゃんの声がする。
涼ちゃんと元貴は同じクラスで、
よく二人で教室来るけど多分涼ちゃんは
無理やり連れてこられてる。
元貴が涼ちゃんのところに行く時、
一瞬だけこっちをチラッと見る。
あの目は_____
完全に、 “後で覚えてろよ” の目だ。
放課後。
いつもの場所で一緒に歩く。
絶対、休み時間の話されるじゃん………
やっぱり、、
誰もそこまで言ってないし。
ちょっと拗ねた顔してから、
元貴がぐいっと近づいてくる。
超近距離だし、、、
ここで、言わなかったら絶対明日言いふらされる。
そんな気がする ((
思いっきりそう言ったら、
元貴の顔が一瞬で崩れる。
元貴がニヤッとして、意地悪く言う。
私は少しだけ元貴に近づいて、
袖をきゅっとつまむ。
元貴の方をチラって見ると、
耳も顔も赤くして私の事見てる。
私は笑って____
元貴は “うーん、、” ってちょっと考えてから____
こんなこと言ってても、多分明日には
“なんで隠すの!!” って言ってくるんだろうなぁ……
それでも、
ちゃんと元貴も言わずに我慢してくれてるし……
若井とか涼ちゃんにぐらいなら、
言ってもいいのかな……?
翌日。
教室に入った瞬間。
―――なんか変。
めちゃくちゃ視線を感じる。
右隣の子にそうやって挨拶したら、
なぜかニヤニヤしながら返事してくる。
寝癖もついてないと思うし、
パジャマ登校もしてない………
なんか、嫌な予感。
席に座った瞬間、
左隣の若井が椅子をこっちにガッと寄せてきた。
心臓が飛び跳ねて、
そのまま止まりかけた。
びっくりしすぎて声裏返ったんだけど。
バレタ…?
元貴と付き合ってることが?
なんで???
待って待って待って。
キスした覚えないんですけど。
脳内フル回転させてみるけど………
え、やっぱいつ?? してないよね??
私の記憶が鈍ってる??
若井が廊下を指さしてそう言う。
恐る恐る指がさす方向に目を向ける。
目に入ったのは____
廊下のど真ん中で元貴が囲まれてる。
完全に囲まれてる。
めちゃめちゃ質問攻めされてる……
そして、当の本人は______
え。
ちょっとまって、落ち着け ((
なんか知らないけど、照れてるんですけど。
なに照れてんだよ。
元貴は気まづそうに、
頭をかきながら笑ってる。
え、ちょっとぉぉぉ???
私は思わずバッと立ち上がる。
若井もニヤニヤしながら頬杖ついて、
私の事見つめてる。
廊下に出た瞬間、元貴と目が合う。
一瞬固まってしまう。
本物って何よ。
元貴がこっちを見る。
ちょっと困った顔してる。
でも、なんかめちゃくちゃ
口角上がるのを堪えてるのバレてるよ。
めちゃくちゃ嬉しそう。
また言う。
強調すんなよ。
周りの人達は、
“ほんとに?” みたいな顔で私を見る。
なんでそんなみんな残念そうなわけ、?
そんなみんなの反応を見て、
元貴がクスって笑う。
そろそろ私の拳が言うこときかなくなっちゃう ((
そんな中、元貴が少しだけ近づいてくる。
超真っ直ぐな目で見つめながらそう言う。
……ずるい
普通、廊下のど真ん中でそれ言う?
しかも、こんな大勢の人に囲まれてる中。
元貴が目を見開く。
周りが息をのむ。 気がする。
廊下が爆発してる中、
元貴が完全にフリーズしてる。
耳真っ赤。
元貴が小声で____
即答。
こんなみんな見てる中で
キスするバカがどこにいるんだよ、、
周りも、
“え、するの?!” って騒いでるし……
いや、こんなとこでしないから。
私は元貴の袖をぎゅっと引っ張る。
耳元で小声でそう呟く。
元貴は、ポカーンと口半開きの状態で固まってる。
もう秘密じゃなくなったけど、
それでもちょっと特別。
元貴がちょっと笑う。
そう言いながらも、
私は “公開彼女、悪くないかもな” って思った。














編集部コメント
依頼人の悩みや不安に向き合うカウンセラーという立場の主人公が見せる慈愛にも似た優しい共感と、その裏にひそむほの暗い闇。いわゆる正義ではないものの、譲れない己の信念のために動く彼の姿は一本筋が通っていて、抗いがたい魅力がありました!