あぁ、どうしよう。
ヴォックスは僕を逃がす気が無さそう。
距離を少し離そうとするだけで
コードで縛られる上にさらに強い力で掴まれる。
僕の言ったことが気に触ったのか
ヴォックスの顔にノイズが走る。
あ、もっと怒らせちゃった…
ちがう、怒らせたい訳じゃなくて、
ちゃんと終わらせたいだけなのに。
くるくるとコードが指に絡みついてきて、
ヴォックスの貼り付けたような笑顔に鳥肌が立つ。
僕だってヴォックスの言いたいことが
分からない訳じゃない
ただそれが天国での大切なこと、人を
放り出す程の価値だと思えない
どうしよう、どうしたら、…
なんて言えばいいの?
これ以上ヴォックスを怒らせないためには…
ヴォックスside
あなたの下の名前(カタカナ)が考えていることが手に取るようにわかる
私につくのが最善だとどうして分からない?
これだけ猶予を与えているのに、
お前じゃなければ答えすら聞かずに殺している。
視線が泳いでいる。
はぁ…、ただYESと言えばいいだけ
どうしてそれができない?
釘を刺すとあなたの下の名前(カタカナ)は口を噤んだ
ふむ、あと一押しか?
戸惑うあなたの下の名前(カタカナ)の腕を掴み私の方に引き寄せる
あなたの下の名前(カタカナ)の手のひらを私の胸に当て、
肩に顔をうずめる
声色からして、随分揺れてるなぁ。
ほくそ笑んでると背に腕が回ってきた。
笑いが溢れて抑えきれないな
あぁもうすぐ……
あなたの下の名前(カタカナ)は俺を振り払って走り出す
咄嗟にコードを伸ばして足に結びつけた。
あなたの下の名前(カタカナ)の目線の先には…、
…ゲートか。
転がるあなたの下の名前(カタカナ)に手を差し伸べてやる
怯えるお前も随分可愛げがある。
もっと早くに手を取っていれば
そんな顔せずに済んだんだ
自業自得っていうやつだろ?













編集部コメント
依頼人の悩みや不安に向き合うカウンセラーという立場の主人公が見せる慈愛にも似た優しい共感と、その裏にひそむほの暗い闇。いわゆる正義ではないものの、譲れない己の信念のために動く彼の姿は一本筋が通っていて、抗いがたい魅力がありました!