放課後の屋上は誰も居ない。
少し寒いが話をするにはうってつけの場所だ。
一方的にここに呼び出すLINEを凛に送っておいた。
凛が来る保証は無いけど、来なかったら凛の家の目の前で大声で話してやるだけだ。
建て付けの悪いドアが開く音がした。
『来てくれたんだ、凛』
凛「お前、来なかったら家の前で大声出すつもりだったろ」
『良くお分かりで』
凛「こんな所に、呼び出して何?」
『僕と凛の事って言ったら分かる?』
凛は息を飲むだけで返事はしない。
これは肯定の仕草だ。
『僕はさ、凛に守られるだけで居たい訳じゃ無い』
そしたら必死にボールを追いかけていた頃を否定する気がするから。
『凛と離れたい訳じゃ無い』
一度離れる覚悟をしたけど、再開したらどうしても凛の姿を追ってしまった
から。
『僕は凛と尊敬して尊敬される、守って守られる関係で居たい』
ずっと避けてきた言葉。
けど、ずっと言いたかった言葉。
やっとちゃんと言えた。
凛はずっと下を向いている。
凛「それって俺らが番じゃ成立しないのか?」
『きっとするよ』
凛「なら、なんでお前は…
あなたは俺を避けてたんだよ」
あの頃は僕は僕に価値があると思ってなかった。
“大切な仲間”であった凛を失いたくなかった。
簡単に捨てられてしまうと思ってたから。
『やっと自信が持てたんだ。
凛と向き合う為の』
その一言に全て詰め込むように感情を込めた言葉。
これで全て伝わるくらい凛は僕を理解していてくれたんだ。
『ねぇ、凛。
僕と尊敬して尊敬される、守って守られる、そんな番になってくれますか?』
凛「当たり前だろ」
凛は中学の頃と同じ笑みを浮かべてくれた。












編集部コメント
主人公は鈍感で口下手ではあるものの『コミュ障』というほどではないので、キャラの作り込みに関しては一考の余地があるものの、楽曲テーマ、オーディオドラマ前提、登場人物の数などの制約が多いコンテストにおいて、条件内できちんと可愛らしくまとまっているお話でした!<br />転校生、幼馴染、親友といった王道ポジションのキャラたちがストーリーの中でそれぞれの役割を果たし、ハッピーな読後感に仕上がっています。