カルドさんと別れた時、その事務室は異様に静かに感じた。
私は、あなたの偽名 下の名前・イーヴァルだ。
しかし、私の名前はあなたの下の名前・バイガン。
……いや、本名はあなたの下の名前・あなたの名字だった。
今の私には、3つの名前がある。
今現在の名前、あなたの偽名 下の名前・イーヴァル。
元の名前とも違い、完全な別人として生きている。
ウォールバーグ様から授かった名前。
あなたの下の名前・バイガン。
この名が1番大切で、1番無くしたくない名前。
だとしても、”その”私はもう既に死んでいる。
……そして、お父様から授かった原初の名前。
あなたの下の名前・あなたの名字。
あなたから貰ったその名前は、どうにも捨てることが出来なかった。
頭の中で3つの名が混在している。
私は今現在「あなたの偽名 下の名前・イーヴァル」だと言うのに、昔の名を捨てることが出来ていない。
原初に授かった名は捨てることが出来ないというのに、私はもう、お父様への憎しみはほとほと尽きている。
これ程までに、私の想いは矛盾だらけで、
私は、心の奥底で父親を愛していたんだと理解してしまった。
腰掛けていたソファから立ち上がり、この事務室を後にする。
魔法局から後を去った私には、新しい想いが募り始めてしまった。
欲望だらけの、罪的な想いが。
魔法局インターン━━1日目終了。













編集部コメント
依頼人の悩みや不安に向き合うカウンセラーという立場の主人公が見せる慈愛にも似た優しい共感と、その裏にひそむほの暗い闇。いわゆる正義ではないものの、譲れない己の信念のために動く彼の姿は一本筋が通っていて、抗いがたい魅力がありました!