目を開けたとき、
最初に見えたのは白い天井だった
しばらく、ここがどこなのか分からなかった
ーーあ
思い出した瞬間、喉がきゅっと縮む
声を出そうとして、やめた
出ない
というより、出してはいけない気がした
ゆっくり首を動かすと、
点滴のスタンドとカーテン
病室だった
低い声
そちらを見ると、ベッド横の椅子に、
あの男の人が座っていた
ゴーグルは外していて、眠そうな目をしている
ーーあのときの
身体が、びくっと震える
あなたは、布団の端をぎゅっと掴む
喉が、ひくひくと震えた
図星だった
小さく、こくんと頷く
淡々とした声
でも、どこか気を遣っているのがわかった
そう言われて、あなたはゆっくり頷いた
相澤は、少しだけ間を置いてから言った
“聞かせてほしい”
その言葉に、胸がチクリと痛んだ
その日の午後
個室に移されて、ベッドの横の簡単なテーブルで、
あなたはスマホを握っていた
相澤は、壁にもたれて立っている
名乗られても、
あなたは小さく頭を下げることしかできない
少し迷ってから、スマホに打ち込む
画面を見せると、相澤は一度だけ頷いた
あなたの指が止まる
胸の奥が冷たくなる
しばらく画面は白いままだった
それから、ゆっくり、
少しずつ、文字を打つ
相澤は、何も言わずにそれを読んでいる
指が、少し震える
そこまで打って、止まった
続きが、打てない
相澤は、スマホから目を離して、静かに言った
それから、少しだけ声を落とす
あなたは、何も返せない
その言葉を聞いても、すぐには信じられなかった
だって
今までも、
「大丈夫」って言葉は、
たくさん聞いてきたから













編集部コメント
引きこもりのおじさんと真面目な女子高生という組み合わせがユニーク。コンテストテーマである「タイムカプセル」が、世代の違う二人をつなぎ、物語を進めるアイテムとして存在感を発揮しています。<br />登場人物が自分の過去と向き合い、未来に向かって成長していく過程が丁寧な構成で描かれていました。