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第1話

序章 最後の1ヶ月
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2023/10/08 10:00 更新
貴方は、いや人間は、誰しもが何かが壊れることを願ったことはあるのではないだろうか。

『学校なんて爆発してしまえ!』
『あいつなんて死んでしまえ!』
『世界なんて終わってしまえ!』

私は毎日願っていた。周りの人、自分、世界、全てが黒ずんで、穢れて見えた。
でも、やっぱり自分が傷付くのは怖い。だから最後は結局妄想止まりだった。
だから正直な話、‘あれ’を言われた時は丁度いいと思ったんだ。

「貴方の余命は、もう1ヶ月もありません」
赤黒い炎とそれの燃え盛る音。
建物が崩れて何かが潰れる音。
しかしそれに掻き消されることも無く聞こえ続ける人々の阿鼻叫喚。

いい気味だ。
フォンセ
フォンセ
うわぁ……!!
もうこんなに死んでる〜!!!
余命宣告をされてから、
私は『壊す』ために旅を始めた。
何もしなくてももうじき死ぬんだからね。
もう我慢しなくていい。やりたかったことを
めいっぱい楽しむことができる!

自慢じゃないけど、私の魔力は結構高い。
人々が何十年も何百年もかけて築いた街を、
私は魔法を使って一瞬で壊せてしまう。
それが今までに経験した何よりも楽しくて、
『壊す』ことを考えただけで心が躍るの!
フォンセ
フォンセ
さーてと、
ほいっ!
「うわああああああ」
「きゃああああっ」
「誰か助けてくれ、誰かー!!!」

人々の叫び声が一段と大きくなる。
おっかしー、ちょっと強めの火炎魔法
もう1回かけただけなのにね。
フォンセ
フォンセ
あはははは!!!
面白い!!!最高!!!
でも、

飽きた。
フォンセ
フォンセ
あーなんか静かになってきた……ほとんど死んだっぽいね、もっと苦しんでくれればよかったのに
『壊す』ことは楽しいけど、それが終わるのは
あまりに早すぎて、長く楽しめない。
私の趣味の唯一の欠点だ。
フォンセ
フォンセ
さぁてと…北の集落でも壊しに行くか
歩いても歩いても視界に入るのは緑、緑、緑。
叫び声、ましてや話し声なんてのも聞こえない。
人の気配すら一切ない。
あるのは草に、木に、虫、動物。

私は森を歩いていた。
フォンセ
フォンセ
あ"ー…いつまで歩けば集落に着くんだ
情けないことに私は今、迷子になっている。
360°どこを見渡しても緑しかない。
言い訳になってしまうが、正直
方向感覚が狂ってしまっても無理はないだろう。
フォンセ
フォンセ
仕方ねぇな……
ここらにテントでも張るか
鞄を漁るとテントを宿に忘れてきたことに気づく。
そんな大事なもの忘れんなよ昔の私…
フォンセ
フォンセ
治癒魔法使って、
体力回復してから考えるか
あ、さっきの街で魔力全部使ってた…。
フォンセ
フォンセ
あぁ……どうしようか…
もう体力が…
そういえば数日飲まず食わずだったんだ。
もう限界だ…
険しくて人があまり近づかない森だ。
ここで倒れたら、
きっとそのまま熊にでも食い殺されて死ぬ。
余命はまだあるし遊びたかったけど仕方ない。
人の命は簡単に終わってしまうものなんだから。

死を悟った瞬間、私の意識は途切れた。
少女
……こんなところで人が…!?助けないと!!北の集落の診療所に連れていきましょう!!早く!!
                                                       
身体がだるい。
いや待てよ、だるい?なんでそう感じるんだ?
私は死んだはず……
少女
あ、起きた……よかった……!!起きないから不安で不安で……!助けられたんだ……!!
目の前にいる私より1、2歳くらい若そうな少女が
急にぼろぼろと泣き出した。
どうやら私はこの子に助けられたらしい。
フォンセ
フォンセ
あ、えーと…ここはどこだ?
私を助けてくれたのは君なのか…?
君は一体……?
少女
うわぁぁあまだ無理して喋らないで!!!ってすみません!いきなり知らない人に知らない場所に連れてこられて急に泣かれたら驚きますよね!気持ち悪いですよね!何こいつって思いますよね!!
いやそこまでは言ってない。
なんか変わった子だな…
リーヴ
リーヴ
私はリーヴと申します!魔法使い見習いの医者です!!ここはあなたが倒れていた場所から北にある集落の診療所です!!
北の集落って私が壊そうとしてたところじゃないか。さすがに助けてもらったところを壊す訳にはいかないな……
フォンセ
フォンセ
あぁ、わかった。ありがとう。
じゃあな。私は行くところがあるから
ここが壊せないなら別の場所を壊すだけ。
私は早く1人になりたかった。
だが次の瞬間、少女の一言でその足が止まった。
リーヴ
リーヴ
待ってください。あなた、これからどこかの街を壊しに行くんですよね?
私は背筋が凍った。
フォンセ
フォンセ
な、何のことだ?
リーヴ
リーヴ
知ってますよ、フォンセさん。あなたは街を壊して回っているんでしょう?
なぜ名前を知っている……!?
私のことは誰にもバレていなかったはず…!
フォンセ
フォンセ
そんなわけ…
リーヴ
リーヴ
ねぇ フォンセさん
背を向けた私に少女…いいや、
リーヴはこちらにどんどん近づいてくる。
表情は見えないが、確かな圧を感じた。
まずい、殺される。
魔力もまだ回復していない、反撃は無理だ。

その瞬間、リーヴは私の肩を掴んで
リーヴ
リーヴ
一緒に旅に出ましょう!
フォンセ
フォンセ
…は?

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