貴方は、いや人間は、誰しもが何かが壊れることを願ったことはあるのではないだろうか。
『学校なんて爆発してしまえ!』
『あいつなんて死んでしまえ!』
『世界なんて終わってしまえ!』
私は毎日願っていた。周りの人、自分、世界、全てが黒ずんで、穢れて見えた。
でも、やっぱり自分が傷付くのは怖い。だから最後は結局妄想止まりだった。
だから正直な話、‘あれ’を言われた時は丁度いいと思ったんだ。
「貴方の余命は、もう1ヶ月もありません」
赤黒い炎とそれの燃え盛る音。
建物が崩れて何かが潰れる音。
しかしそれに掻き消されることも無く聞こえ続ける人々の阿鼻叫喚。
いい気味だ。
余命宣告をされてから、
私は『壊す』ために旅を始めた。
何もしなくてももうじき死ぬんだからね。
もう我慢しなくていい。やりたかったことを
めいっぱい楽しむことができる!
自慢じゃないけど、私の魔力は結構高い。
人々が何十年も何百年もかけて築いた街を、
私は魔法を使って一瞬で壊せてしまう。
それが今までに経験した何よりも楽しくて、
『壊す』ことを考えただけで心が躍るの!
「うわああああああ」
「きゃああああっ」
「誰か助けてくれ、誰かー!!!」
人々の叫び声が一段と大きくなる。
おっかしー、ちょっと強めの火炎魔法
もう1回かけただけなのにね。
でも、
飽きた。
『壊す』ことは楽しいけど、それが終わるのは
あまりに早すぎて、長く楽しめない。
私の趣味の唯一の欠点だ。
歩いても歩いても視界に入るのは緑、緑、緑。
叫び声、ましてや話し声なんてのも聞こえない。
人の気配すら一切ない。
あるのは草に、木に、虫、動物。
私は森を歩いていた。
情けないことに私は今、迷子になっている。
360°どこを見渡しても緑しかない。
言い訳になってしまうが、正直
方向感覚が狂ってしまっても無理はないだろう。
鞄を漁るとテントを宿に忘れてきたことに気づく。
そんな大事なもの忘れんなよ昔の私…
あ、さっきの街で魔力全部使ってた…。
そういえば数日飲まず食わずだったんだ。
もう限界だ…
険しくて人があまり近づかない森だ。
ここで倒れたら、
きっとそのまま熊にでも食い殺されて死ぬ。
余命はまだあるし遊びたかったけど仕方ない。
人の命は簡単に終わってしまうものなんだから。
死を悟った瞬間、私の意識は途切れた。
身体がだるい。
いや待てよ、だるい?なんでそう感じるんだ?
私は死んだはず……
目の前にいる私より1、2歳くらい若そうな少女が
急にぼろぼろと泣き出した。
どうやら私はこの子に助けられたらしい。
いやそこまでは言ってない。
なんか変わった子だな…
北の集落って私が壊そうとしてたところじゃないか。さすがに助けてもらったところを壊す訳にはいかないな……
ここが壊せないなら別の場所を壊すだけ。
私は早く1人になりたかった。
だが次の瞬間、少女の一言でその足が止まった。
私は背筋が凍った。
なぜ名前を知っている……!?
私のことは誰にもバレていなかったはず…!
背を向けた私に少女…いいや、
リーヴはこちらにどんどん近づいてくる。
表情は見えないが、確かな圧を感じた。
まずい、殺される。
魔力もまだ回復していない、反撃は無理だ。
その瞬間、リーヴは私の肩を掴んで














編集部コメント
依頼人の悩みや不安に向き合うカウンセラーという立場の主人公が見せる慈愛にも似た優しい共感と、その裏にひそむほの暗い闇。いわゆる正義ではないものの、譲れない己の信念のために動く彼の姿は一本筋が通っていて、抗いがたい魅力がありました!