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第1話

【序章】
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2024/03/07 14:00 更新


どうしてこうなってしまったのだろう。
そう考えても,今じゃなにも考えられない私の頭脳はきっと


" ここ "で生活をするようになってからどうにか冴えなくなってしまったようだ。



何もかもが終わった今、私は鏡越しに映る自分の顔をみた。




『....あははッ,ふふふふふふ』




その時、確かに私は笑いながら泣いていた。


























今思えば、私の最大の過ちというのは1番初めからはじまっていたのだろう。


村の大飢饉のせいで私はずっと育ててくれていた叔父様と叔母様の家から出なくては行けなくなってしまって



私を引き取れると名乗り出た家がまさかの名家で.....なんて、そこまでは都合のよくできたシナリオだったなと思う。




森の奥にぽつんと忘れ去られたかのようにそびえ立つ豪邸は、どこか恐ろしく感じたのは鮮明に記憶に残っている。





その日は確か、やけに大粒の雨が頬に触れていたと思う。




大きな門をくぐってみれば、インターホンがあったため、緊張しつつも押してみるが



それは長年使われていないせいなのか、うんともすんともいわなくなってしまっていた。
仕方なく大きな正面玄関のドアをこんこんとたたくが一向に人が出てくる様子もない。




『あ、あの....誰かいませんか..』




試しにドアを押してみると、いとも簡単に開いた扉。
ここの家の人は鍵をかける習慣は無いのだろうか。




少し非常識な気もするが、そのまま扉を開けて進んでみることにする。
荷物の入ったケースを引きながらあるく。
コツコツと履いてきた靴の音がやけに響いた。
しばらく少しの距離を歩いてみたけどやっぱり気が引けて足がすくむ。





人がいるとは思えないくらいどこかひんやりしていて、気配もなければ音もない。
段々不安になってきてしまい





『ほんとに人はいるのかな...』




そう呟いた時だった。

















?「ねぇ。そこでずっと立ってなにを考えてるの?」




『ひッ...』



ほんの数秒の出来事だった。
あれだけ静かで人の気配もないような空間だったのに。
彼は確かに私の "後ろ" にいて、それで私のちょうど顔の横でそう言ったのだ。








ばっと後ろを振り返れば、もう彼はいなかった。
代わりに前に向き直した時に彼が視界の目の前にいた。





?「どうして進まないの?」




『...え?』




?「...ここは広いから俺が部屋まで連れて行ってあげるよ」





そういうと彼は私の手をとった。
その手は異様に冷たくてまるで...





"人ではないかの様な"
"人に化けたナニカの様な"気がしたのだ






序章[終]




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