コネシマがあたりを見渡すが、それらしき人はいなかった
代わりに、ぼろぼろになったビニール袋を被った青年が立っていた
ぐちつぼさんを先頭に、俺等は城へと足を運んだ
城の前にはラッダァもいた
怪我をしてる
ここでも争いが起きてたのか
レウさんとコンさんは、手から火や触手を出した
ぴょこぴょこと尻尾を動かしてみせた
俺と似てんなぁ
エミさんの言葉を聞いた途端、俺は城の中の違和感に気づいた
あなたの匂いと混ざって、血の匂いがする
大先生が投げてくれたので華麗に受け取る
そのまま走ってあなたの匂いを辿る
……あと一人…コリウスか…?
しんぞうの音がせぇへん、死んどるんか
恐る恐る臭いのもとに行くと、あなたがいた
息はしてるが動かない
寝てるだけであってくれ
頼むから
返事がない
遅れてラッダァ達が入ってくるが、あなたの姿を見て絶句する
目を瞑ったまま動かないあなたにポーションをかける
もしかしたらなんて思ってさ
はは…あなたは永眠したんかな…
もう…声は聞けへんのかな…
溢れそうな涙をきゅっと我慢して、あなたの頬を触る
ぴくりとまつ毛が揺れた
わぁっと皆が盛り上がる
あなたが起き上がる。
俺の顔を見た後、優しく微笑んで頭を撫でられた
照れくさいなぁ…
ラッダァは泣きながら抱きついてきた
俺も皆も何も言わない。
エミさんはあなたの手を握って、優しく微笑んだ
それにつられたのか、あなたの口角も少しだけ上がった
すごく…
凄く美しかった。
編集部コメント
主人公は鈍感で口下手ではあるものの『コミュ障』というほどではないので、キャラの作り込みに関しては一考の余地があるものの、楽曲テーマ、オーディオドラマ前提、登場人物の数などの制約が多いコンテストにおいて、条件内できちんと可愛らしくまとまっているお話でした!<br />転校生、幼馴染、親友といった王道ポジションのキャラたちがストーリーの中でそれぞれの役割を果たし、ハッピーな読後感に仕上がっています。