一瞬でピリついた空気に移る
私はまぁ…脅されてたとは言え、一度は国王に剣を向けた身だ。死刑…良くても拷問かな
後ろを見ると、皆が私がどう答えても、笑って合意してくれそうな、真剣な眼差しで見ていた
グルッペンさんは愉快そうに笑った
もう魔女と人間の誤解は解けた
みんなと森でひっそりと暮らす必要もない
それに…この子達も世界を知るべきだ
グルッペンの手に、そっとキスを落とした
全員が、満足そうに笑った
あぁ…本当に終わったんだね
コリウスの死体は、我々国の兵士が片付けていた
みんなが話しているので、バレないようにこっそり近づいてみる
死体は、幸せそうに笑っている
本当に不気味なやつだ
でも、どこか小さな少年のようだった
魔女だから世間からも嫌われてる。大人は信じられない。
そんなときに本とであってしまった
逆に言えば、本しか知らないのだ。
もし、あの孤児院でコリウスと話すことが出来たら
いい友人になれたのだろうか
コリウスの顔に布を置いて
兵士に運ばれていくのを
止めもせず、泣きもせず。
ただ見ていた。
グルッペンさんに呼ばれたので振り返ると、皆の視線が私にあった
グルッペンさんは私以外の人達に対して聞いた
皆が何ていうかなんて、私にはわからない
皆から見た私がどう写ったかも
それでも
皆は嬉しそうに
ただ、一言だけ口を開いた
編集部コメント
引きこもりのおじさんと真面目な女子高生という組み合わせがユニーク。コンテストテーマである「タイムカプセル」が、世代の違う二人をつなぎ、物語を進めるアイテムとして存在感を発揮しています。<br />登場人物が自分の過去と向き合い、未来に向かって成長していく過程が丁寧な構成で描かれていました。