弟の一人がそう呟く。
その声は小さかったのに、
あなたにはちゃんと聞こえていた。
一瞬だけ目を丸くして、それから少し
照れたみたいに笑う。
さっきまで張っていた肩の力が
少しだけ抜ける。
周囲の視線は相変わらず多かった。
期待。興味。好奇。
いろんな感情が混ざった目が、自分を見ている。
でも その中に弟たちがいるだけで少し安心した。
入学式の会場は、校舎奥の巨大ホールだった。
吹き抜けの天井。何百席も並ぶ座席。
壁一面の大型モニター。
まるで表彰式みたいな空間に、
あなたは思わず息を呑む。
弟に小突かれながら、あなたは案内表示を探す。
その途中でも、周囲の視線は何度も向けられた。













編集部コメント
主人公は鈍感で口下手ではあるものの『コミュ障』というほどではないので、キャラの作り込みに関しては一考の余地があるものの、楽曲テーマ、オーディオドラマ前提、登場人物の数などの制約が多いコンテストにおいて、条件内できちんと可愛らしくまとまっているお話でした!<br />転校生、幼馴染、親友といった王道ポジションのキャラたちがストーリーの中でそれぞれの役割を果たし、ハッピーな読後感に仕上がっています。