……ろ
……ろ…
なろ!
暗闇の中母の声が響く
どうやら地震が起きたらしい
震度は7、僕は母に引っ張られるようにして家をあとにをした。
次の日、目にはいるのはいつもの4人
昨日からの不安が薄れた気がした
その言葉で初めて気づく
この場にのきが居ないことに
震える手で昨日交換したばかりのLINEに連絡を入れる
一分
二分
三分
自分でも声が震えているのがわかる
結局その日はのきからの返事は来なかった
3日後、久しぶりに見た外の景色
それは自分達が知っている街とはかけ離れていた
そこに行けばのきに会える気がして、思わず足が動いていた
進むたびにどんどん増えていく瓦礫の山
その山を乗り越えた先、公園と街をつなぐ道にそれはあった
あの日、のきから教えてもらった楠の大木が横たわっている
その時、この場に似合わない明るい声が響いた
あの時の子供、こーくてゃんのお父さんが言うには
この前の地震で津波も起こったらしい
この街を飲み込む規模の津波はこの楠により止められ、被害は最小限にとどまったそう
そらちゃんがぽつりとこぼす
僕も心のなかで感謝をした
のきから返事はこないまま迎えた新学期
真新しい制服のままふらっといつもの公園に立ち寄った
地震の影響で前と遊具も雰囲気も変わってしまっていたけど、前と変わらない場所に楠の切り株はあった
楠の切り株から芽が出ている
後で調べると「ひこばえ」と言うらしい
見つめていると無性に力が湧いてきて、立ち上がった
みんなにLINEを送る
“これから遊ばない?”
場所も何も伝えなかったけど、全員がこの公園に集まった
それからは時間も何も気にせずみんなで遊び回った
制服が汚れてお母さんに怒られたのも気にならなかった
その日、僕は地震が起きてから初めて心から笑えた












編集部コメント
主人公は鈍感で口下手ではあるものの『コミュ障』というほどではないので、キャラの作り込みに関しては一考の余地があるものの、楽曲テーマ、オーディオドラマ前提、登場人物の数などの制約が多いコンテストにおいて、条件内できちんと可愛らしくまとまっているお話でした!<br />転校生、幼馴染、親友といった王道ポジションのキャラたちがストーリーの中でそれぞれの役割を果たし、ハッピーな読後感に仕上がっています。