今回少し長いです、お時間ある時にお読みください
巳霊サイド
襲撃の日から約二週間。
明日は満月、つまり結界の再構築兼当主継承の日だ。
そして先日の襲撃者はやはり火守の者だったらしい。
これはお父様と家臣が内密に、と話していたが…。
首謀者は、火守日之右衛門とのことだった。
関わっていたものは反逆の意として全員処刑させたと聞く。
おそらく日之右衛門は、私を殺し、娘を当主にさせようとしていたのだろう。
この年の娘が当主ともなれば実権など、両親のものだ。
日之右衛門…。
温厚で誠実な方と聞いていたが、実際はそうではないらしい。
あの少女を私の護衛としてつけたのも策略あってのことかもしれない。
ただ、一つ。見込み違いがあるとすれば……。
……日之右衛門が実の娘の実力を推し量れていなかったことだろう。
赤の符を使えることは認知していた。
だが、それを使いこなすまでになっていたとは知らなかったようだ。
それを知らずに襲撃者も殺られた。
この少女は私の寝首を掻きに来たのか…
はたまた、何も知らずに送り込まれたのか…。
…私はどうするべきなのだろう。
このまま力のない当主として火守を支えていけるとは思えない。
だからといって、この少女も何をしに来たのかわからない。
信用してもいいのだろうか。
私を殺しに向かってこないだろうか。
その時。
尋常とはいえないほどに地が響いた。
突然のことに狼狽える。
外が騒がしい。
「何があった…!?」
「わかりません!!おい!早く確認しろ!!」
お父様たちもわかっていないらしい。
あの子は…!
障子の影から少女が姿を現した。
なぜこの子はわかったのだろう。
いや、わかる。
この子は…
天に……、才に愛されている。
火守に生まれるべくして存在した者だ。
ここ数週間で嫌というほど理解させられた。
私にはない、才能。
…それは、…まずい。
火守は結界を守ることで栄えてきた。
ここで結界を守れない場合、信用問題になりかねない。
しかも、原因不明で。
いや、それよりも……。
結界が壊れたら、外からの妖はもちろん中の妖まで外に出てしまう。
火守の内情が悪い時にそれらの対処となると…。
今は人手が圧倒的に足りない。
街を、守れない。
この子は何を知っている…?
人身御供…つまり、生贄。
でも、そんなの……、知らない…。














編集部コメント
主人公は鈍感で口下手ではあるものの『コミュ障』というほどではないので、キャラの作り込みに関しては一考の余地があるものの、楽曲テーマ、オーディオドラマ前提、登場人物の数などの制約が多いコンテストにおいて、条件内できちんと可愛らしくまとまっているお話でした!<br />転校生、幼馴染、親友といった王道ポジションのキャラたちがストーリーの中でそれぞれの役割を果たし、ハッピーな読後感に仕上がっています。