巴サイド
二人が見えなくなるまで見守る。
あの子は自分を見てどう思うのだろう。
私はあの子を…。
気配がふっと濃くなった。
ああ、ようやく来たのか。
北の社。
嘲笑だろうか。
いい気はしない。
あの日のことを覚えてる者。二人。
神楽は何も言わない。
言えない。
これからあの子がどうなるのか知っているから。
私のしたいこと…?
役目から逃げた。
あの子を迎えに行かなかった。
あの子に孤独を味わわせてしまった。
私は…
世間話。側から見たらそう思えるだろう。
声は淡々としている。
それ以上でもそれ以下でもないのだろう。
本当に変わらない。
神楽はそう思う。
心の中でため息をついた。
その空気を察したのだろうか、北が口を開く。
分かる。
だって分かりたくないからだ。
北の社は何も言わない。
おそらく神楽が考えていることがわかるのだろう。
同じ過ちを見守った者として。
北は空…いや、結界を見上げた。
そこは緋花の実家であり、火守の活動の拠点であり、
結界騒動の中心である。














編集部コメント
依頼人の悩みや不安に向き合うカウンセラーという立場の主人公が見せる慈愛にも似た優しい共感と、その裏にひそむほの暗い闇。いわゆる正義ではないものの、譲れない己の信念のために動く彼の姿は一本筋が通っていて、抗いがたい魅力がありました!