「一緒に購買いこ!」
「お財布、持ってるよね?」
有無を言わさず鞄の中を漁ると、強引に腕を掴み、教室を出ていきました。
正確に言うと出ていったよりも連れていかれた と言う方が正しいですね。
さて、全てを見ていたであろう亮雅は何も気にしていない風を装い、ぎこちない笑みで友人と談笑しています。
事に関与はしないけれど、彼には止める勇気もないでしょう。
その証拠に何度も今のような場面を目撃しているのに助ける素振りひとつ見せません。
莉緒のことを助けたい気持ち半分、自分がターゲットになりたくない気持ち半分といったところです。
空席が増えるのも時間の問題ですね。
編集部コメント
依頼人の悩みや不安に向き合うカウンセラーという立場の主人公が見せる慈愛にも似た優しい共感と、その裏にひそむほの暗い闇。いわゆる正義ではないものの、譲れない己の信念のために動く彼の姿は一本筋が通っていて、抗いがたい魅力がありました!