第6話

始まりは突然に - ②
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2021/01/24 13:10
 亮雅の恋人である紺野こんの莉緒りおの机の上には、見覚えのある1輪の花と花瓶が置いてあるのです。


そう、あの時と同じ。



「誰かのイタズラだろ? こういうの趣味悪いって、ホントに」



平静を装っているようですが隠しきれていません。

声が震えています。


冗談だよな? なんて友人に問うていますが答えは帰ってきません。

沈黙こそが一番の肯定です。





「…なんでだよ」




力が抜けたかのように近くの机に手をつきました。


焦点の合わない瞳で今、何を考えているのでしょう。

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