また煙草に火をつけて、お兄さんは素っ気なく私に言う。
私がぴょんっ、とお兄さんの隣から正面に移動して、
顔をのぞかせる。
お兄さんは私の顔から目を離して言った。
そう言って、また煙草に火をつけるお兄さん。
なんだか、煙草を出したり、咥えたり、火をつけたりする仕草は、暗いからなのか
より一層、綺麗に、格好よくみえた。
私はそう言って、元気に跳びはねて、お兄さんの目の前にあるブランコに乗ってみる。
キコキコと、ほんの少し音がなって、風に押され私を乗せたブランコが揺れる。
私は、なんだか口から吐かれる煙草の煙に酔ってしまったみたいに、
いきなりお兄さんに向けて話し出しました。
やっぱり、自分に難しく考えるのは向いていないと
私は思考を中断して、ブランコを勢いよく揺らす。
私がそういうと、お兄さんは黙って、また新しい煙草に火をつける。
キイキイと、錆びたブランコの音だけが公園に響いて、
よく見えはしない星の光を揺らすみたいに冷たい風が私達の髪を揺らす。
つまるところ、お兄さんは今現在幸せなんかじゃないのだろう。
だって、幸せだったら当たり前に断言するだろうし。
私はブランコを自分の足でピッタリ止めて、
お兄さんに向けて放ちました。
どうせ、がきんちょの戯言だとしか思っていないであろうお兄さんは
また煙草の煙を吐いて、その匂いで私を更に酔わせます。
煙草の匂いが又私に染みついて、
きっといつか取れなくなって、それで、いつか
煙草の匂いだけじゃなくて、お兄さんの匂いも、なんて。
これを恋と呼ぶには、それにしては軽すぎて、
けれどこれを友情だとかで呼ぶにしては、少しばかり重すぎた。
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編集部コメント
依頼人の悩みや不安に向き合うカウンセラーという立場の主人公が見せる慈愛にも似た優しい共感と、その裏にひそむほの暗い闇。いわゆる正義ではないものの、譲れない己の信念のために動く彼の姿は一本筋が通っていて、抗いがたい魅力がありました!