第2話

お話聞いて
339
2026/01/21 06:28 更新
あなた
ふーん、お兄さんアキくんって言うんだ
あなた
かわいっ、
早川
どこがだよ




また煙草に火をつけて、お兄さんは素っ気なく私に言う。


あなた
なんかお兄さん冷たーい
あなた
私のこと、嫌い?




あなた
ねー、好きぃ?
私がぴょんっ、とお兄さんの隣から正面に移動して、
顔をのぞかせる。




あなた
ねーえー!
あなた
無視はいけないと思いますっ!




お兄さんは私の顔から目を離して言った。







早川
あったばっかりで、好きも嫌いもない
あなた
そう?なんか、ビビット来るとかないの?
早川
逆にあるのか?
あなた
私はあるよ!
ここに来る道を見つけたときに「ここだ」ってビビットきたもん!
早川
じゃあ俺にも?
あなた
えー、んー、わかんねー
早川
だろうな





そう言って、また煙草に火をつけるお兄さん。
なんだか、煙草を出したり、咥えたり、火をつけたりする仕草は、暗いからなのか
より一層、綺麗に、格好よくみえた。



早川
…こっちをみるな
あなた
あっ!照れた?!
早川
照れてない…
あなた
絶対照れたじゃん!!
あなた
チョンマゲ照れた!照れた照れた照れた!!!!
早川
照れてないっ!!
あなた
あははっ、





私はそう言って、元気に跳びはねて、お兄さんの目の前にあるブランコに乗ってみる。




キコキコと、ほんの少し音がなって、風に押され私を乗せたブランコが揺れる。




早川
そのブランコ錆びてるだろ、大丈夫なのかよ…
あなた
舐めてもらっちゃ困ります!お兄さんよりここのセンパイなんだぞ!
早川
…はあ…そうだな…
あなた
適当に返事しやがった!





私は、なんだか口から吐かれる煙草の煙に酔ってしまったみたいに、
いきなりお兄さんに向けて話し出しました。




あなた
…ねえ、お姉ちゃんが死んで、悲しいって思えないのは
あなた
……おかしいかな





早川
…さあな、俺の周りには良くしてくれた人が死んでも
気にせずピンピンしてる奴ばっかだよ
あなた
そっか、じゃあ私は気にしてるからまともだね
早川
…そうでもないかも知れないぞ
あなた
えー、どっちい?
早川
さあ、どっちでもないかも
あなた
…そっか!




やっぱり、自分に難しく考えるのは向いていないと
私は思考を中断して、ブランコを勢いよく揺らす。



あなた
お兄さーん!!!今幸せ?





私がそういうと、お兄さんは黙って、また新しい煙草に火をつける。





早川
…さあな、どうなんだろうな




キイキイと、錆びたブランコの音だけが公園に響いて、
よく見えはしない星の光を揺らすみたいに冷たい風が私達の髪を揺らす。




つまるところ、お兄さんは今現在幸せなんかじゃないのだろう。
だって、幸せだったら当たり前に断言するだろうし。





あなた
……じゃあさ





私はブランコを自分の足でピッタリ止めて、
お兄さんに向けて放ちました。




あなた
私が、幸せにしてあげる










早川
あぁ、それは…


















早川
楽しみにしてるよ





どうせ、がきんちょの戯言だとしか思っていないであろうお兄さんは
また煙草の煙を吐いて、その匂いで私を更に酔わせます。


煙草の匂いが又私に染みついて、
きっといつか取れなくなって、それで、いつか
煙草の匂いだけじゃなくて、お兄さんの匂いも、なんて。



あなた
うん、期待、しててね








これを恋と呼ぶには、それにしては軽すぎて、
けれどこれを友情だとかで呼ぶにしては、少しばかり重すぎた。





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