奏音side
今日は、佳乃とお出掛けするんだ〜!楽しみ!
集合場所に着くと、佳乃がいた。
和葉先輩だといいな〜!そしたら2人は上手くいったってことだと思うし!
そうじゃなかったら…森重先輩の意識が和葉先輩に向くようにしなきゃw
そう言い、佳乃と歩き出した。
ここに来て暫く経ち、私たちは行く場所に悩んでいた。
もうなんか興味あるとこ全部行った気がするし……
そして、ゲームセンターに向かう途中……
そう、和葉先輩を見つけたのだ。
…森重先輩と、一緒にいる。
小さく言ったのに、和葉先輩がこっちを向いて手を振ってくれた。
ぺこ、とおじぎをしてまた歩き始めた。
なーんだ。森重先輩、和葉先輩とのデートだったんだ。
そっかそっか。それなら、良いか。
………
…あの2人、付き合い始めたのかな。
付き合ってたら、それで、良いんだけど…
良いはずなんだけど…
……心が痛いのは、なんでだろう。
先輩のことが気になってしまうのは、なんでだろう。
わかりきっている答えだけど、認めたくなかった。
和葉先輩を裏切るようなことは、したくないから。
…だから、もう、良いんだ。
先輩と、関わらないようにしなきゃ。
その後は佳乃と遊びまくり、ひとまず考えないことにした。
帰宅後。
…どうしよ。ほんとに。そんな、和葉先輩を裏切るようなことは…
あぁ、そっか。
何もないふりしてればいいんだ。
でも、本当に断ち切るなら…
数日後。
そう声を掛けると、浮かれた感じの森重先輩が振り向いた。
…何のことかわからないんだろうな、きっと。
そう言って、森重先輩に背を向けた。
部活が終わった後。
森重先輩が私の方に来た。
人に聞かれて余計なこと言われたくないからな…。
人が少なくなったところで、言った。
…否定、してほしかったけど…だめだ、そんなの。私は和葉先輩に協力してるから、和葉先輩が幸せならそれでいいの…!お願い、付き合ってて…
森重先輩は、そのままフリーズした。
その言葉に、はっとしたような顔をする。
……
思わず、黙ってしまった。
でも、あれで付き合ってないことはないと思うし、何よりも先輩を私から遠ざけたい。
だから。
じゃあ、と私は続けた。
…とぼけたフリなのだろうか。わからないという顔をしている。
少しの間があいて、言った。
そのまま、彼は黙り込んだ。
苦しそうな表情をしているのは、なぜだろうか。
やっと、好きな人と両想いになることができたと思ったのに。好きな人に好いてもらえたって思ったのに…
言いたいことだけ行って去る私は、自分勝手だと思う。
でも、これで和葉先輩が上手くいくなら、森重先輩が私と一緒にいる必要がなくなるなら、それで良いんだ。
いくら苦しくたって、私が森重先輩を好きだという事実は、誰にも伝えないんだから。



























編集部コメント
主人公は鈍感で口下手ではあるものの『コミュ障』というほどではないので、キャラの作り込みに関しては一考の余地があるものの、楽曲テーマ、オーディオドラマ前提、登場人物の数などの制約が多いコンテストにおいて、条件内できちんと可愛らしくまとまっているお話でした!<br />転校生、幼馴染、親友といった王道ポジションのキャラたちがストーリーの中でそれぞれの役割を果たし、ハッピーな読後感に仕上がっています。