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第5話

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2026/02/15 13:51 更新
「相変わらずユウリ絶好調だね〜!」
オーナーに声をかけられる
絶好調?そんなわけないでしょ
あなた
ええほんとですか?ありがとうございます
「ユウリ以外の奴らもがんばってくれてるのはわかるんだけどさあ、なんかダメなんだよなあ...」
あなた
最初からうまくやっていける子の方が少ないですよ
「そーだねえ...まあユウリこれからもがんばれよ!店背負ってるんだからな!」
あなた
はい、がんばります
「じゃあまた明日な!お疲れ!」
あなた
はい、お疲れ様です
夜風が冷たい
店を出た瞬間は、まだ大丈夫だった
歩けるし、視界も普通
ヒールの音もちゃんとまっすぐ響いてる
あなた
(今日ちょっと重いな)
駅に向かう途中、急に胃の奥がひっくり返る感覚が来た
あなた
あ……
反射で路地に入る
壁に手をついた瞬間、限界が来た
喉が焼けるみたいに痛くて、呼吸が浅くなる
あなた
(やば……)
膝が落ちそうになるのを、腕で無理やり支える
個性の反動だって分かってる
疲労
ストレス
痛み
何人分も吸った日は、こうなる
大丈夫だ、慣れてる
爆豪勝己
……おい
あなた
っえ...なんで
勝己は何も言わないで状況だけを見ている
吐いた跡
壁に手をついてる姿勢
揺れてる呼吸
爆豪勝己
……何やってんだてめェ
私は口元を拭いて、小さく笑った
あなた
ちょっと飲みすぎただけ
でも半分本当
勝己は何も返さず、踵を返した
そのままコンビニに入る
数分後、ペットボトルを持って戻ってきた
爆豪勝己
...ん
あなた
……ありがと
受け取って、口をゆすぐ
冷たい水が喉を通ると、少しだけ楽になる
勝己が何も言わないから
夜の音だけが遠くで鳴っている
勝己がポケットに手を突っ込んだまま言った
爆豪勝己
昔もあったな
あなた
え?
爆豪勝己
おまえ、体育の後よく座り込んでただろ
あなた
あー……あったかも
爆豪勝己
ケロッとして戻ってきてたけどな
あなた
若かったからね
爆豪勝己
今も若ぇだろ
その言い方が、少しだけ昔と同じで
胸の奥が変に揺れる
爆豪勝己
……その格好
あなた
ああ
あなた
仕事帰り
爆豪勝己
だろうな
爆豪勝己
...大変じゃねえの?
あなた
まあそれなりにね、でも楽しいよ
嘘じゃない
本当でもない
爆豪勝己
無理すんな
無理なんて、ずっとしてる
あなた
してないよ
少しだけ眉を寄せる勝己
あなた
(信じてないなあ)
昔からそうだ
この人には誤魔化しが効かない
あなた
水、ありがと
爆豪勝己
別に
あなた
じゃあ帰るね
爆豪勝己
送る
あなた
いいよ、大丈夫
爆豪勝己
うるせぇ
懐かしくて、ちょっと笑いそうになった
会話はほとんどないけど苦じゃない
それが不思議で、少しだけ怖い
あなた
(……あーあ)
胸の奥が、少しだけうるさくなった

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