ガチャッ__
...おおお
私が違っただけ!?
私の部屋には、
小さなテレビや大きなベッド、机など...家具が揃っていた
それも綺麗だし可愛い!!
こんなに良い人達いるんだ!!
リビングに戻ると
なーくんは私の顔を見て申し訳なさそうに苦笑いした
莉犬さんがこっちに走ってきた
莉犬さんは私の手を取り、リビングを出た
ガチャッ__
少し小さめのソファを軽くポンポンと叩き
手招きをした
莉犬さんは棚をガサゴソと探り
箱を取り出した
すると莉犬さんは私の腕に何かを付けた
私は生まれてから傷の手当てなどしたことがない
だから湿布なんて初めて使うのだ
でも
なんで莉犬さんは手当てをしようとしてくれたんだろう...
そうだよね
やっぱそっか
私が親にそんなことされてたから
...だめだなぁ、私
私は頬を触った
すると手のひらに冷たい液体がついた
気づかない間に泣いていた
ぎゅっ__
莉犬さんが抱きしめてきた
ぎゅっと、強く
え?
莉犬さんも泣いてる?
莉犬さんは泣きながら苦笑いをした
お兄ちゃんが言っていたことだ。。
莉犬さんはトランスジェンダー...だよね...
え、違う
そんなわけない
莉犬さんだって辛かったはず...
ぎゅっ___
気付けば莉犬さんを抱きしめていた
私は莉犬さんに何があったのか知らない
ただトランスジェンダーということだけ
でも
何かがわかる
何かを感じる
この人も苦しんでたって
表情も、声の震え方も、手が震えているのも
どこか私と同じだった_____
あなたちゃん、どこか俺と一緒なんだよな
俺が昔母親に怯えてた頃に似ている
あなたちゃんが何をされていたのか、俺は知ってる
あなたちゃんの兄から聞いていたから
教えた方が一緒に住みやすいと言って俺に教えてくれた
俺はあなたちゃんほど酷くはないかもしれない
でも、感じるものがある
俺と同じように苦しんでた子が身近にいたんだ
俺が__
幸せな生活をこの子に与えてあげなきゃ______
編集部コメント
依頼人の悩みや不安に向き合うカウンセラーという立場の主人公が見せる慈愛にも似た優しい共感と、その裏にひそむほの暗い闇。いわゆる正義ではないものの、譲れない己の信念のために動く彼の姿は一本筋が通っていて、抗いがたい魅力がありました!