アガ「良い睡眠は良い環境から!」
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『〜〜っはぁぁ〜⋯こっちの屋上始めてきたな』
薄ピンクが降り注ぐ、1年塔より頭一つ高い場所。
ぽかぽかと暖かくて心地よい空気に、ゆっくり深呼吸しながら大きく伸びをする。そして何か話している2人をチラッと横目に見た
syp「この匂いは⋯アロ魔⋯!!」
アガ「それもリラックス効果のあるやつね」
『(学校にアロ魔とか聞いたことないって)』
アイマスクを上げキメ顔でアロマを見せる姿は、私には次元が違うのかもしれない。
一般的な悪魔は学校にアロ魔なんて持って来ない。
アガ「これがあれば緊張感もなくぐっすりできるよ。自分の寝床は自分で整えなくちゃ」
『(それっぽいことを言っているんだろうけど、何も響かないのは正常だよね)』
syp「⋯いいですね。となると欲しくなるのはやはり⋯」
アガ「ホットミルク⋯!!」
syp「冷えや空腹は睡眠の妨げになりますからね」
『(だからなんでそんなキメ顔なの?)』
ツッコミどころ満載というか⋯まあ話についていけない私は終始黙ってるんだけど。
するとショッピ君がバッと振り返り、ホカホカと湯気の出るホットミルクを冷めた目で見つめる私にカップを差し出してきた。
syp「ここに来るまでに買っておいたんですよ」
アガ「お前わかってるじゃん⋯!」
syp「あなたさんも良ければ。完璧に整えられた場所での睡眠の良さを知ってみてください」
『え?⋯⋯あ、はぁ。どうも⋯?』
手渡されたカップを両手で包むと、甘い香りが漂ってくる。
巻き込んできたことは許してないが、百歩譲って奢ってもらえるならまぁプラマイゼロだったなぁ。
そんなことを考えながら、2人の元へ寄ってコツンとカップを合わせた。
syp「では同士よ
今度は夢の中で会いましょう─────」
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『⋯⋯ぁ⋯』
今何時だ⋯ぽやぽやした頭で考えながらス魔ホの電源をつけ現在の時間を確認する。
何だかんだ言って私もふたりと一緒に昼寝をし、起きた頃には1時間半ほど経っていた。
『(寝るつもり無かったのに、見事なまでに流された⋯)』
3大欲求恐ろしい。
長時間壁にもたれかかったため凝り固まった身体をほぐし、立ち上がった。
⋯⋯あぁ、そういえば⋯
『(今日はあの特番の日か)』
見ようと思っていたテレビを思い浮かべ、未だ夢の中の2人を一瞥する。
『(⋯先帰っていいかな。いいよね、わざわざここまで準備しといて起こすのも忍びないし)』
魔イン送っておこう。これなら問題ないだろう。
昼寝前と比べて多少騒がしさが落ち着いてきた反対側の屋上のふわふわを見ながら、翼を広げた。
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~syp side
快適な睡眠から目を覚まし隣を見ると生意気な後輩の姿は無かった。
まぁ先に帰ったんやろ
その後アガレス君と別れ、時間を確認するためにス魔ホを開くと一通の魔インが目に入った。
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今日
╭━━━━━━━━━━━━━━━━━━╮
│先帰ります。 │
< ホットミルクありがとうございました。 │
╰━━━━━━━━━━━━━━━━━━╯5:48
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syp「⋯⋯」
意外と律儀。意外と。
短く返事をしス魔ホを閉じた俺は、寝袋を抱えながら帰宅路についた。
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今日
< │
╰━━━━━━━━━━━━━━━━━━╯5:48
╭━━━━━━━━━╮
│いえ。 │
│また誘いますんで。 >
6:27╰━━━━━━━━━╯
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実は魔イン交換してたんやで っていう⋯
そんで また誘う っていうね⋯?ね?













編集部コメント
主人公は鈍感で口下手ではあるものの『コミュ障』というほどではないので、キャラの作り込みに関しては一考の余地があるものの、楽曲テーマ、オーディオドラマ前提、登場人物の数などの制約が多いコンテストにおいて、条件内できちんと可愛らしくまとまっているお話でした!<br />転校生、幼馴染、親友といった王道ポジションのキャラたちがストーリーの中でそれぞれの役割を果たし、ハッピーな読後感に仕上がっています。