第29話

TWENTY SIX
957
2025/11/30 08:00 更新

 

芦戸三奈
え?あなた、あなたのなまえちゃんの知り合いなの?
砂原あなた
う、うん!びっくりした…!
高坂あなたのなまえ
ね!凄い嬉しい!!

私は知っていたけど、
転校が決まってからずっとわくわくしてたもん。
そう、にこっと私の手を取って優しく振りながら、
高坂あなたのなまえはたくさんの雄英生に囲まれる。
きっとこの子にとってはもう、新しい友達なんだろう。



芦戸三奈
そうなんだ。良いなー!!
砂原あなた
…ふふ、そうだね

内心で、最悪だ、と毒づく。
気を遣って、愛想笑いをして、水を差さずに座って。
私はまた、高坂あなたのなまえの引き立て役で、
滑稽な道化として使われてるだけの、脇役だ。



砂原あなた
(はぁ…早く終わんないかなぁ…)

特段嫌なことが有ったとか、そう言うわけじゃない。
だけど、時間の流れが異常なほどゆっくりで。
そういう憂鬱な時って、自分が思っているほど
特別ではなくて、ありふれているのかもしれない。



高坂あなたのなまえ
 ________ じゃ、またね!あなたちゃん
砂原あなた
へっ!? … あ、うん。またね

考え込んでいたせいか、反応が遅れる。
けれど彼女は、嫌そうな表情や行動をしないし、
怪訝そうな素振りすら見せない。寛大で、大らか。
信じられないほど、この子は人当たりが良い。



砂原あなた
(それもまた、1つの所以、か)

そういうところだって、この子の魅力なんだろう。
そう思っていると、右耳に、女子の気配を感じた。
甘い匂いと柔軟剤の香りと、それから、
長くてふわりと揺れた髪の毛が、擦れる音。



高坂あなたのなまえ
ねぇ、あなたちゃん、今日の放課後空いてる?
高坂あなたのなまえ
空いてたら、おいでよ。ここの屋上

…理解するのに、時間がかかった。
少しどころかかなり空いて、
ようやく『ここ』が雄英を指しているのだと気づく。



砂原あなた
(頷く理由はもちろんのこと、受け入れる理由も無かった)

いつもの私なら、やんわりとした言い方にしろ、
躊躇いなく断っていただろう。確信できる。
だけど、その時は違った。永遠にこの子の道化で
有り続けるなんて運命はもう、ごめんだった。



馬鹿みたい。
もう変えることの出来ない未来をのことを、
人は運命と…さだめと呼んで、名付けたというのに。



砂原あなた
分かった。待ってるね

私は、1度も名を呼んだことのないこの子に…
" あの子 " に向かって、約束を取り付ける。


物間寧人
顔色、悪いけど。大丈夫かい?

幼馴染が、私を心配そうに覗き込んでいた。



Rainです!いつも本当にありがとうございます ♪ 
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それではまた次話でお会いしましょう!!

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