私は知っていたけど、
転校が決まってからずっとわくわくしてたもん。
そう、にこっと私の手を取って優しく振りながら、
高坂あなたのなまえはたくさんの雄英生に囲まれる。
きっとこの子にとってはもう、新しい友達なんだろう。
内心で、最悪だ、と毒づく。
気を遣って、愛想笑いをして、水を差さずに座って。
私はまた、高坂あなたのなまえの引き立て役で、
滑稽な道化として使われてるだけの、脇役だ。
特段嫌なことが有ったとか、そう言うわけじゃない。
だけど、時間の流れが異常なほどゆっくりで。
そういう憂鬱な時って、自分が思っているほど
特別ではなくて、ありふれているのかもしれない。
考え込んでいたせいか、反応が遅れる。
けれど彼女は、嫌そうな表情や行動をしないし、
怪訝そうな素振りすら見せない。寛大で、大らか。
信じられないほど、この子は人当たりが良い。
そういうところだって、この子の魅力なんだろう。
そう思っていると、右耳に、女子の気配を感じた。
甘い匂いと柔軟剤の香りと、それから、
長くてふわりと揺れた髪の毛が、擦れる音。
…理解するのに、時間がかかった。
少しどころかかなり空いて、
ようやく『ここ』が雄英を指しているのだと気づく。
いつもの私なら、やんわりとした言い方にしろ、
躊躇いなく断っていただろう。確信できる。
だけど、その時は違った。永遠にこの子の道化で
有り続けるなんて運命はもう、ごめんだった。
馬鹿みたい。
もう変えることの出来ない未来をのことを、
人は運命と…さだめと呼んで、名付けたというのに。
私は、1度も名を呼んだことのないこの子に…
" あの子 " に向かって、約束を取り付ける。
幼馴染が、私を心配そうに覗き込んでいた。
Rainです!いつも本当にありがとうございます ♪
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それではまた次話でお会いしましょう!!












編集部コメント
主人公は鈍感で口下手ではあるものの『コミュ障』というほどではないので、キャラの作り込みに関しては一考の余地があるものの、楽曲テーマ、オーディオドラマ前提、登場人物の数などの制約が多いコンテストにおいて、条件内できちんと可愛らしくまとまっているお話でした!<br />転校生、幼馴染、親友といった王道ポジションのキャラたちがストーリーの中でそれぞれの役割を果たし、ハッピーな読後感に仕上がっています。