夏休み。A組から貰った学校が全額負担、リゾート地へのチケット。
殺せんせー最大の弱点、「水」を使える絶好の場所。この旅行で、殺せんせーを殺したい。
そう意気込んで、みんなと毎日のように計画を立ててきた。
そして迎えた当日。また例によって荷物を山ほど持ってきたけど船で酔っている殺せんせー。
海が見たいなと思って、甲板に出た。
ああ、綺麗。カメラも、他の人の目も無い。つい、笑みがこぼれる。
しばらくすると、磯貝くんがやってきた。
「あ…磯貝くん。どうしたの?」
声をかけると、磯貝くんは困ったように話し始めた。
「前原たちに外に出されてさ。あなたの下の名前は?」
「そうなんだ。前原くんらしい」
何故かは知らないけれど、E組のみんな…とりわけ前原くんとカルマくんが2人きりにしたがる。
「お仕事じゃなくて船に乗るのって、初めてだったから」
風向きを計算せずに甲板に立ってみたかった。
「だから、カメラを意識しないで海を、景色を見てみたかったの」
カメラがあると、どうしても星華を演じなければならない。色々考えなくちゃいけないから。
「殺せんせーはどう?確か、乗り物酔いが酷いんじゃなかった?」
「酷いもんだよ。酔いつぶれてる」
殺せんせーって、月を破壊した生物なのに、色んな所で親近感が湧くよね。万とは違う。なんだか、わざと弱くなったみたいな…
「そっか。ちょっと想像出来る」
それからも他愛ない話をしていると、クラスのみんなが現れる。
「……なんでみんな、出てこないの?」
ずっと影に隠れているみんなが不思議で、磯貝くんに聞いてみた。
「さあな」
曖昧な返事をされて、本当にみんなどうしたんだろう。












編集部コメント
主人公は鈍感で口下手ではあるものの『コミュ障』というほどではないので、キャラの作り込みに関しては一考の余地があるものの、楽曲テーマ、オーディオドラマ前提、登場人物の数などの制約が多いコンテストにおいて、条件内できちんと可愛らしくまとまっているお話でした!<br />転校生、幼馴染、親友といった王道ポジションのキャラたちがストーリーの中でそれぞれの役割を果たし、ハッピーな読後感に仕上がっています。