そうしてその翌日、あなたの紅羽は父に呼び出されていた
恒久の拳をあなたの紅羽は冷静にいなす
あなたの紅羽はまだこの時グールではないので爆発的な身体能力も力もなかったがそれでも直感で逃れられるほどに恒久の拳は単純だった
目を見開きあなたの紅羽は走り出した
本邸を通って別邸に行こうとした時、やけに焦げ臭い匂いがして咄嗟にあなたの紅羽はその方へ走って行った
尚久があなたの紅羽の大事にしていた専門書や語学書、彼女が知識を書き込んできたノートを一冊一冊暖炉に放り込み処分していたのだ
そうして尚久は最後の一冊を放り込んだ
パチパチと燃えていく音が、静かにあなたの紅羽の脳に響く
本性ではない、あの外面の良い笑みのまま語る尚久にこれが悪だとは思っていない、そう理解した
そしてあなたの紅羽の中で何かが無惨に焼き払われたあなたの紅羽のち式の照明たちと共に焼き切れた
あなたの紅羽にとって、そのノートや専門書はすべて、「彼女自身」そのものだた
…そして、その瞬間は訪れる
あなたの紅羽は静かに無機質な表情のまま、右手を左胸に当てた
それはまるで執事の行うお辞儀で、嵐の前の静けさのようなあまりに優雅で、あまりに恐ろしい所作だった
言い終わる間もなくあなたの紅羽は尚久の顔面に拳を叩き込んだ
そして壁まで盛大に吹っ飛んだ
尚久の叫びを聞き屈強なSPたちが即座にあなたの紅羽を取り押さえた
複数の男に取り押さえられ、さすがにあなたの紅羽もどうしようもなかった
そうしてあなたの紅羽は地下室へと連れて行かれた


















編集部コメント
依頼人の悩みや不安に向き合うカウンセラーという立場の主人公が見せる慈愛にも似た優しい共感と、その裏にひそむほの暗い闇。いわゆる正義ではないものの、譲れない己の信念のために動く彼の姿は一本筋が通っていて、抗いがたい魅力がありました!