サラ・コレットは自分の席に座り、頬杖を突きながら教本をパラパラとめくっていた
その姿を確認し、震える足を動かして彼女に近づく
頬杖をついていたコレット嬢の顔は冊子に向いたまま、目だけ動きがこちらを見た
その目が私を捉えると、たちまちギョッと見開かれる
今の髪形は昨日コレット嬢にやってもらったような髪型でも、いつものおさげでもない
頭頂部の髪を不自然に膨らませて、
そこに二本のおさげを無理やり固定した前衛的な髪型だ
俯きながらポケットに手を突っ込む
そして昨日借りたリボンを引っ張り出すと、
おずおずとコレット嬢に差し出した
昨日のクズハとの練習を思い出しながら、か細い声で礼を言う
今にも死にそうな声になってしまっやけれど、ちゃんと最後まで言えた
けれど、コレット嬢は差し出されたリボンを見ると、
ふんと鼻を鳴らしてそっぽを向く
つっけんどんとした態度は、これ以上の会話を拒んでいる
いつもだったら、ここで半泣きになって引き下がっていただろう
けれど、その場に踏みとどまる
必死で声を絞り出した
噛んだ
耳に熱がこもり、俯く
そんなあなたの下の名前(カタカナ)は気づかない
サラ・コレットが笑いをこらえているみたいに
口の端をヒクヒクムズムズさせていることに
高慢にそう言って、顎をしゃくる
言われたとおりに自分の椅子をもってきて座ると、
コレット嬢は手早く私の髪を解いた
弱々しい声でそう言うと、コレット嬢に髪をグイっと引っ張られた
彼女は呆れたように鼻を鳴らし、自分の櫛を取り出した
持ち手に繊細な透かし彫りを施した銀細工の櫛は、
よく見ると小さな宝石が小花のようにちりばめられている
そこまで言ってなぜかコレット嬢は口をつぐみ、無言で私の髪を梳き始めた
どうして突然黙り込んだのだろう、
と不思議に思っていると
コレット嬢は私にしかこえないような声で呟く













編集部コメント
依頼人の悩みや不安に向き合うカウンセラーという立場の主人公が見せる慈愛にも似た優しい共感と、その裏にひそむほの暗い闇。いわゆる正義ではないものの、譲れない己の信念のために動く彼の姿は一本筋が通っていて、抗いがたい魅力がありました!