第16話

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2020/08/08 10:24
side 廉


 『…っ』


「ほらぁゆーたやろ?無理すんなって」


2日後

案の定最悪の顔色で楽屋に入ってきたかぐ


「熱測ったん?」


 『36.7やから大丈夫やって』


「そりゃコロナではないやろうけど」


平野「おはよ…って…あーやっぱり」


次に入ってきた紫耀も"やっぱり"という顔でかぐの隣に座る


平野「どこがしんどい?」


 『大丈夫だって』


「大丈夫な人間はそんな辛そうな顔せんと思うけど?」


 『熱ないじゃん。大丈夫』


平野「将来医者になる人が分からないわけないと思うけどさ、熱なかったら本当に大丈夫なの?」


 『…』


恐らく痛いところを疲れたんやろ

たとえ熱がなかったとしても自分の身体が悲鳴を上げていることくらい医学部2年のかぐには絶対わかってて

でも


 『大丈夫やから』


その言葉はもう、かぐにとってのおまじないみたいなもんなんやろうな

気を抜いたら倒れそうなくらい行き詰まってるから、でも倒れている場合じゃないから

"大丈夫"

そういう自分へのおまじないをかけてる


でもさあ…な?かぐ。


「俺らの前では無理せんでええねんで?」

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