ぐるぐると、スープをゆっくりと
かき混ぜていく。
私を含めれば9人もいるわけだから
ご飯を作るのにはやっぱり一苦労。
おたまを沈めて持ち上げれば
野菜も肉も一緒くたにすくい上げられ、
ずしりと腕に重みが伝わる。
危うくおたまを思いっきり
投げ飛ばしてしまうところだった。
本当に音もなくほぼゼロ距離で
立っててびっくりした。
今も距離近いし彼の鼻が私の髪に
若干触れている気がする。
スープを小皿に少量注ぎ渡すと、
小柳さんは匂いを嗅いで全て飲み込んだ。
少しの間の後真顔のまま親指を
上げてきた。
美味しい、のか?
彼から小皿を受け取り私も
味見をしてみる。
うん、ちゃんと美味しいじゃない。
濃厚ではない気がするけど。
苦手な味なのか……。
小柳さんに小皿を再び渡すと
自分でスープをよそい始めた。
謎に小皿をくるくると調整してから
ゆっくりとスープを飲み込んだ。
先程の反応とはうってかわって
本当に美味しそうな反応をしている。
一体さっきの微妙そうな反応は
なんだったのか。












編集部コメント
主人公は鈍感で口下手ではあるものの『コミュ障』というほどではないので、キャラの作り込みに関しては一考の余地があるものの、楽曲テーマ、オーディオドラマ前提、登場人物の数などの制約が多いコンテストにおいて、条件内できちんと可愛らしくまとまっているお話でした!<br />転校生、幼馴染、親友といった王道ポジションのキャラたちがストーリーの中でそれぞれの役割を果たし、ハッピーな読後感に仕上がっています。