第5話

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2026/01/23 14:23 更新
 




   ぐるぐると、スープをゆっくりと
   かき混ぜていく。
   私を含めれば9人もいるわけだから
   ご飯を作るのにはやっぱり一苦労。
   おたまを沈めて持ち上げれば
   野菜も肉も一緒くたにすくい上げられ、
   ずしりと腕に重みが伝わる。


あなた
……ふぅ
あなた
…………ん、ぇ……わっ、うわぁ!!
kyng
できた?
あなた
音もなく後ろに立たないでくださいよ!
kyng
ごめん



   危うくおたまを思いっきり
   投げ飛ばしてしまうところだった。
   本当に音もなくほぼゼロ距離で
   立っててびっくりした。
   今も距離近いし彼の鼻が私の髪に
   若干触れている気がする。


あなた
近いですって、少し離れてください
kyng
えぇ、別にいいじゃん
kyng
味見させて
あなた
……はいはいわかりました



   スープを小皿に少量注ぎ渡すと、
   小柳さんは匂いを嗅いで全て飲み込んだ。
   少しの間の後真顔のまま親指を
   上げてきた。
   美味しい、のか?


kyng
んまい
あなた
本当ですか?不味くないですか?薄すぎたりとかは……
kyng
うまいよ
あなた
え、あぁ……
あなた
具体的に聞いても?
kyng
……まろやか、で、濃厚で、
kyng
美味しい、とにかく美味しい
あなた
適当に言ってません?
kyng
んなことねぇよ



   彼から小皿を受け取り私も
   味見をしてみる。
   うん、ちゃんと美味しいじゃない。
   濃厚ではない気がするけど。
   苦手な味なのか……。


あなた
好みじゃなかった感じですか……?
kyng
いや……、それかして
あなた
え、また味見するんですか



   小柳さんに小皿を再び渡すと
   自分でスープをよそい始めた。
   謎に小皿をくるくると調整してから
   ゆっくりとスープを飲み込んだ。


kyng
んっ!〜っま!
kyng
めっちゃ美味しい、まじまじまじ
あなた
ぇ、あぁ……



   先程の反応とはうってかわって
   本当に美味しそうな反応をしている。
   一体さっきの微妙そうな反応は
   なんだったのか。


kyng
もうできるよね?
kyng
あいつら呼んでくるわ
あなた
は、はい……
kyng
おーい、お前ら飯できるって〜
あなた
………
あなた
え?不味くないよね??
あなた
不安になってきたんだけど……


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