いくら咳き込んでも
咳は止まらなかった。
むしろ咳き込む度に
喉は痛み
砂が入り、
酷くなる一方だった。
咳のせいで
涙まで出た。
砂の上に落ちた涙は
落ちた瞬間に
砂に吸い込まれて消えた。
何も無かったように。
跡すら残らなかった。
立てなかった。
膝が砂に沈んで、
立ち上がろうとすると
砂が崩れた。
止まらない咳は
涙だけじゃなく
胃液まで連れてきた。
ただでさえ熱かった喉がさらに焼ける。
胃液は少しだけ砂の上に跡を残した。
喘鳴がどんどん酷くなっていた。
視界の端が白くなっていく。
まずい、とは思った。
でも、どうすることもできなかった。
肘も力が抜けて、
上半身も砂に沈み込む。
まぶたが落ちそうになった時―――
遠くから人の声がした、
気がした。
別の声もした。
複数の足が砂を踏みしめる音が近づいてくる。
声がする方に顔をあげようとして、
首が折れそうになって、
それでも何とか必死にあげた。
逆光の中に
人の影がいくつかあった。
輪郭しか見えなくて、
それが余計に夢みたいで、
なんだかこの世界にぴったりだ、
なんてフワフワした頭で思う。














編集部コメント
主人公は鈍感で口下手ではあるものの『コミュ障』というほどではないので、キャラの作り込みに関しては一考の余地があるものの、楽曲テーマ、オーディオドラマ前提、登場人物の数などの制約が多いコンテストにおいて、条件内できちんと可愛らしくまとまっているお話でした!<br />転校生、幼馴染、親友といった王道ポジションのキャラたちがストーリーの中でそれぞれの役割を果たし、ハッピーな読後感に仕上がっています。