俺はあいつが好きだ
まだ、好きなんだ
忘れようとしてた
『触らないで』
『声聞きたくない』
『顔みたくない』
『大嫌い』
叶うはずがないんだ
そう、思ってた
大きな満月が太陽のように輝くあの日。
あいつは現れた
あいつは俺の知るユイじゃない
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部屋の前を通りかかった時だった
『ガシャン!』
大きな音がして、
少しだけ開いていた扉を、
とっさに覗き込んでしまった。
全て、あの日聞いていたんだ俺は
信じてなどいなかった。
タイムスリップ?
馬鹿げたことを
とうとう乱心したのか
…そんなふうに思っていた
あの時俺に泣きながら嘆くように叫んだ言葉
10年会わなかった弟との再開
俺は確信したんだ。
きっと、あいつは別の誰かで、
ユイの体に入り込んでるって。
腹が立った。
ユイの身体を返せって。
でも
『喋りかけないでくれる』
『出てって』
でも
『私あなたの事知りたい』
『あはははっ、何それ』
明るく笑う君に、
誰だか分からないけど
俺、好きになったかもしれない












編集部コメント
依頼人の悩みや不安に向き合うカウンセラーという立場の主人公が見せる慈愛にも似た優しい共感と、その裏にひそむほの暗い闇。いわゆる正義ではないものの、譲れない己の信念のために動く彼の姿は一本筋が通っていて、抗いがたい魅力がありました!