第14話

監視の目
39
2025/07/15 12:39 更新
真白は、資料室を出た後も胸のざわつきが消えなかった。
手に残るポラロイド写真の感触と「非公式記録」という文字。
そして、月神音羽の兄、月神和音の名前。
真白 雪
全部つながっとる。
けど、どうして僕は何も覚えてへんの……?
廊下を歩きながら、真白はスマートフォンを取り出した。
画面には通知が一件。
件名 :監視体調のログに異常あり。
発信者:K‐05記録分析室
真白 雪
なんや……これ?
捜査一課に所属する極秘の記録分析チーム。
そこからの直接の通知など、一度も受けたことがない。
胸騒ぎを覚えながらファイルを開くと、そこに記されていた監視対象の名前を見て、真白は凍り付いた。


ーー監視対象:真白 雪


自分。
しかも、アクセス者不明。
記録の改ざん履歴まである。
真白 雪
なんでや……?
誰が…僕のデータを……?
再編集のログは、深夜0時27分。
ちょうど自分が資料室にいた時間帯。
だが、真白はその時間、自分が何をしていたのか細部まで思い出せなかった。
ポラロイド写真を見つけて……その跡、どれほど時間がたったのか覚えていない。
真白 雪
いや…もしかして、覚えてへんのはそれだけやないんやないか?
その時、スマホがもう一度震えた。
柴咲 梵
『至急、通話可能か?』
真白はすぐに通話ボタンを押す。
柴咲 梵
真白、今どこだ?
真白 雪
庁舎内です。
資料室の前に。
柴咲 梵
太原の部屋に侵入された形跡がある。
パソコンが物理的に壊されていた。
真白 雪
……え?
柴咲 梵
時間は深夜一時過ぎ。
監視カメラには、何も映っていない。
だが、お前に確認したいことがある。
柴咲の声は、珍しくわずかに動揺していた。
柴咲 梵
破壊された机の上に「M」の文字が残されていた。
真白の背筋に氷の張りが突き刺さったような気がした。
真白 雪
それって……また…?
柴咲 梵
そうだ。
蓮翔、音羽、万、そして今回。
全部にMが残っている。
真白雪、お前は何か知っているんじゃないか?
真白 雪
僕は……何も………。
だが、言葉に自信が持てなかった。
資料室で感じたあの”声”、過去の断片、そして自分を見つめるもう一つの視線。
通話が切れた後も、真白はその場から動けずにいた。
静まり返った廊下。
微かに蛍光灯が鳴る。

ふと、スマホの画面が勝手に点灯する。

ーー「M」

赤い文字が浮かび、すぐに消えた。
真白 雪
なんなんや、これは……!
スマホを床にたたきつける。
液晶がひびを描くが、今の真白にはどうでもいいことだった。
真白 雪
これは、誰かが僕を脅してるんか?
それとも…僕が……?
その時、背後に気配を感じて振り返るが、そこには誰もいなかった。
だが、部屋の窓ガラスに映った”自分”が微かに笑っていた気がした。
静かに嘲笑う、鏡の中の自分。
???
お前が始めたんだ。
全部、忘れたのか?
耳の奥で。その声がささやく。
真白は両手で頭を押さえる。
真白 雪
違う!
僕は……違う…。
だが、心の奥底で何かが確実に目を覚ましつつあった。
資料室に残された断片、改ざんされた記録、そして”M”の文字。
三人の死にかかわる何かが、再び自分を試そうとしている。
真白はゆっくりと息をつき、震える足を一歩踏み出した。
真白 雪
全部、突き止めたる。
たとえ、俺自身が犯人やとしても……!
その時、何処かで嗤う声が響いた。
それは外からではない。
自分の中から聞こえた。
天海 紫苑
誤字脱字、教えてください!
確認しないで投稿しているので。
天海 紫苑
それじゃ、ばいば~い!

プリ小説オーディオドラマ