第3話

きっかけ
1,499
2018/06/09 14:22



炎天下のグラウンド


乾いた外履き


立ち上る砂埃



____今日は運動会の予行練習
ついに運動会は明後日に迫っていた。


私は1人校庭に残り、壇の上へ上がる。

1年の後期から生徒会副会長になった私。


運動会では、開会宣言と閉会式の司会を務めることになった。

今からその練習。


あたりに誰もいないのを確認し、胸をなでおろす。

かなりのあがり症のため、人がいては練習ができないのだ。





言い終わり、少し自信がついた頃、どこからか拍手が聞こえて辺りを見回す


見つけた


その人物を見てギョッとする



山田涼介
山田涼介
よっ
あなた

な、な…なんで……

山田涼介
山田涼介
んー?暇だったから
あなた

聞いてたんですか?

山田涼介
山田涼介
ぜーんぶ聞いたよ。うまかったじゃん
あなた

お世辞なんていりません

山田涼介
山田涼介
素直じゃないなぁ〜


当たり前です


山田先生なんてチャラいんだから誰にでもそういうこと言いそうですもん
なーんて言葉はぐっと飲み込んだ


先生はスッと私の前に手を差し出す
あなた

……………なんですか

山田涼介
山田涼介
え、ハイタッチ
あなた

するわけないじゃないですか

山田涼介
山田涼介
んー、つれないなー


私は壇の上に置いておいた原稿とペンを持って、この場を立ち去ろうとした

山田涼介
山田涼介
帰るの?
あなた

帰りますよ、
練習も終わったことだし

山田涼介
山田涼介
1人で帰れる?怖いんじゃない?
あなた

舐めたようなこと言わないでくださいよ

山田涼介
山田涼介
ごめんごめん、じゃあね

グラウンドの硬い扉を開けて出て行こうとする私に、先生はずっと手を振っていた



____やっぱり苦手だ、あの先生

プリ小説オーディオドラマ