第18話

1章 #17 お待たせ!!
188
2022/09/20 06:27
☆あなたSide☆


ーー終演後


藤ヶ谷君と玉森君は
来た時と同様にスタッフの誘導で舞台裏へと行ってしまった。


離れていく玉森君の姿に寂しさを感じなかった。


手に書かれた ”あ” ”と” ”で” ”ね” の4文字。


このあと会えることが嬉しくって、
その時が近づいてることが待ち遠しくって
自然と自分の顔に笑みが溢れてくる。



由紀「ごめんね、あなた行くよ」


あなた「もうー、ビックリするじゃんよー」



そして私たちもACTシアターを後にした。


ACTシアターを出て人気が無くなったところで
北山君の考えた玉森君と私の連番作戦を聞いた。



そんなこと考えなくたっていいのに。
9月に最近会えてないこと話したから、
北山君気を聞かせてくれちゃったんだよね。


きっと…ね。


ブッ……ブッ…… と由紀の携帯が動き出した。


届いたメールを2度見して確認され、
そんなん知らないよって顔で私を見てきた。



由紀「ん?あなた、タマちゃんと帰るの?」



あなた「うん!隣駅で待ち合わせだよ」



由紀「えっ、聞いてないよー」



あなた「由紀は北山君と帰るんでしょ、だから玉森君にお願いしたの」



由紀「んん……?あ、そっか!そういうことかね」



由紀は再び携帯を見て納得したみたい。



由紀「それなら早く行ってきな、待たせちゃうよー」



あなた「由紀は?ここら辺で待ち合わせなの?」



由紀「私は電話して聞いてみるから」



あなた「そっか!じゃまたねー」




ACTシアター裏に残って電話するという由紀に手を振り
赤坂駅の改札口へ向かっていった。






電車乗って隣駅へ……。
改札を出て、1番出口へ。



夜の国会議事堂前なんて…始めてきたな。



電車に乗って15分じゃ、
舞台終わりの混んでる電車乗るのやめて
歩いてきても良かったかもしれない。



あなた「終演して1時間か…。そろそろかなー」



どっちから来るのかわからずに、
気になっては右左をキョロキョロしてしまう


あなた「……あっ!」


それからしばらくして、
さっきまで全然通ってなかったところに
1台の車が現れて、運転手の姿にに胸が高鳴った。


裕太「お待たせ!隣乗って」



あなた「うん!ありがとう!」



裕太「あ、ははは」



降りて扉を開けてくれようとする姿に、
私はそんなことも待てずに助手席に座った。



裕太「じゃ、行こっか」



あなた「うん!お願いします」



はじめての玉森君と2人きりの時間に
胸を躍られながら、
静かになった夜の街を走り抜けて行った。

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