前の話
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「委員長、やってくれる人」
教室がしんと静まり返る。
「、、まあ委員長って言っても、特に大きな仕事はない、、ぞ」
先生が胡散臭い表情で言った。
「行事の準備の進行とかしなきゃいけねんだろー」
後ろから男子の声が上がった。
「いい経験になるぞー、誰かやってくれてもいいだろー」
手が挙がる気配はなかった。
「、、篠塚、すまないが、、今年もやってくれないか」
名前を呼ばれ、先生と目が合った。
去年の担任も藤野先生だった。
「わかりました」
委員長をやるのは、これで二回目だ。
先生は私にお礼を言って、黒板に私の名前を書いた。
「じゃあー篠塚に悪いから、今年は副委員長も決めるか」
そう言うと、私の名前の隣に「副委員長」と続けて書いた。
「仕事内容はー、、まあ、委員長の手伝いだな。誰かやってやってくれ」
「あの、別に」
別になくていいです、と言おうとしたとき、
「や、やります」
と左前側の席から手が小さく挙がった。
「お、和泉やってくれるか」
去年同じクラスだった子だ。特に絡みは無い。
「じゃあ、委員長は篠塚、副委員長は和泉に頼むな。ありがとうな二人とも」
チャイムが鳴ると、和泉さんがこちらにやって来た。
「あの、なんでも手伝うし、頑張ろうね」
和泉さんは控えめな笑顔を浮かべていた。
「うん、そうだね」
「俺やればよかったかなー副委員長」
「篠塚さんと喋りたいだけだろ」
「いやーそれ以外ねえだろー」
自分の名前が聞こえて、さっさと移動教室の準備をした。
「でも何喋ればいいかわかんねえよなー」
「んー美容の話とか?」
「そんなん俺らにわかるわけないだろ〜、なー馨」
「そうやな」












編集部コメント
引きこもりのおじさんと真面目な女子高生という組み合わせがユニーク。コンテストテーマである「タイムカプセル」が、世代の違う二人をつなぎ、物語を進めるアイテムとして存在感を発揮しています。<br />登場人物が自分の過去と向き合い、未来に向かって成長していく過程が丁寧な構成で描かれていました。