夕暮れが落ちて、港町の広場はにぎわっていた。
赤や黄色の提灯がぶら下がり、潮の香りに混じって甘い綿菓子の匂いが流れてくる。
未來は相変わらずふっと笑って、カメラを構えて、祭りの光を切り取っていく。
パシャ。
シャッターの音に、ボクは少し肩をすくめた。
> 屋台の笑い声
金魚すくい、りんご飴、射的。
どの屋台も賑やかで、ボクの胸は少しだけ高鳴る。
ポイを手にして、必死に追いかけるが――
紙はすぐに破れて、水の中に沈んだ。
未來がいじると顔が熱く、赤くなる。
屋台の光が揺れて、笑い声に溶けていく。
>花火の下で
もう夏祭りも終盤という所で、夜空にドン、と大きな音が響いた。
赤、青、黄色や、緑。
色とりどりの花火が弾けて、水面に映り込む。
未來の横顔を盗み見る。その時、未來もまたボクを見ていた。
その目は真剣で、花火よりも眩しくて。
胸がぎゅっと痛くなる。
――言いたい。
でも言ったら、きっと壊れてしまう。
花火の音にかき消されながら、二人の声は夜に溶けた。
>帰り道
祭りの後、静かな小道を歩く。
足元には屋台の落とした紙屑、どこかでまだ遠く花火の音。
ボクが一言呟くと、未來は立ち止まり、ボクを見つめた。
その瞳は花火の残光を映して、かすかに震えている。
未來は笑う。
でも胸の奥ではまた呟く。
――しにたい。けど、勇気がないから、また今度。
未來が差し出した手に、ボクはそっと触れた。
その温もりを確かめるように。
To be continued……












編集部コメント
主人公は鈍感で口下手ではあるものの『コミュ障』というほどではないので、キャラの作り込みに関しては一考の余地があるものの、楽曲テーマ、オーディオドラマ前提、登場人物の数などの制約が多いコンテストにおいて、条件内できちんと可愛らしくまとまっているお話でした!<br />転校生、幼馴染、親友といった王道ポジションのキャラたちがストーリーの中でそれぞれの役割を果たし、ハッピーな読後感に仕上がっています。