朝は昨日より少し涼しく、光も柔らかかった。彼女は目を覚まし、制服に袖を通して靴を履く。今日は交差点を避けるルートを選んだ。通学路はいつも通りで、車の音や自転車のベルが耳に入るが、心臓の奥に微かな緊張があるだけで、昨日ほどの恐怖はなかった。歩道を歩きながら、カゴに置かれた自転車の荷物に気を取られた瞬間、足元がわずかに引っかかる。次の瞬間、視界が白くなり、彼女はまた9月2日の朝、ベッドの上で目を覚ました。
呼吸を整え、手足を確かめる。傷もなく、痛みもない。ただ、胸の奥に「終わった」という感覚が残っている。スマートフォンの画面を見ると、再びSeptember 2。ノートを開き、震える手で書き込む。
[EnD-03:FfH(fell from the head)]
学校に着き、授業が始まる。窓の外には青い空と校庭、無邪気に歩く生徒たち。彼女は慎重に歩き、廊下で躓かないよう注意しながら階段を下りる。しかし、二階から降りるとき、ほんの少し足を滑らせる。手すりに触れる前に、体は不自然に傾き、再び白い光の中に消え、気がつけばまた9月2日の朝、ベッドの上だった。
胸の奥がざわつく。今日の外出は、やはり安全ではなかったのだ。ノートを開き、震える手で書き込む。
[EnD-04:FdS(fell down the stairs)]
教室に戻ると、普通に時間は進み、友人たちの声や黒板の文字がある。だが彼女は理解している。日常のどこにでも、終わりは潜んでいる。外に出ても、逃げても、完璧な安全は存在しない。今日一日を生き抜くためには、ただ記録するしかない。ノートを閉じ、窓の外を眺める。青空の下、何も起こっていないように見える世界。しかし、また朝は9月2日に戻る。普通の一歩、普通の階段、普通の行為が、いつでも終わりを呼ぶのだと知っている。今日も、9月2日はまだ続いている。












編集部コメント
依頼人の悩みや不安に向き合うカウンセラーという立場の主人公が見せる慈愛にも似た優しい共感と、その裏にひそむほの暗い闇。いわゆる正義ではないものの、譲れない己の信念のために動く彼の姿は一本筋が通っていて、抗いがたい魅力がありました!