第2話

#2 - 転生…?
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2025/08/24 23:00 更新


どうやら、わたし、生まれ変わったようです。




それも、天下のSMエンターテインメントの、練習生に。





まだ現状が呑み込めないけど、とりあえず周りを見回してみる。


(なまえ)
あなた
うーん………ここ、宿舎か?



今わたしがいるのは床だった。


どうやら数人で共同の部屋を使っているらしく、周りには2段ベッドが置かれ、そこから寝息が聞こえてきた。


外はまだ暗い。

が、すっかり目が冴えてしまったので、わたしは身を起こし、バキバキになった身体を動かす。



(なまえ)
あなた
にしてもなんで床…………?
(なまえ)
あなた
あなたの本名のベッド、ないのかな?


ぶつぶつと独り言を言うと、記憶がぱっと蘇る。








…………………あぁ、そういうことか。


わたしの口に、苦い味が広がる。




わたしが生まれ変わったこの身体の持ち主、あなたの本名は、どうやら事務所でいじめられているらしい。



記憶の中にあるのは、


ダンスシューズを隠されたり、

トイレで水をぶちまけられたり、

練習に入れてもらえなかったり、

暴言を吐かれている、


そんな少女の姿だ。



会社全体からいじめられているらしく、トレーナーにも無視され、社員からは食事を抜かれたり寝床を用意して貰えなかったりと、随分手酷い扱いをされている。



その度に肩を落として、涙を流しているのも、見えてしまう。


言い返したり、反抗しない辺り、

どうやら気が弱い子だったようだ。




この子が、わたしに呼びかけてきたんだな。




ここから助けてくれ、出してくれって。







───夢も希望もない




───わたしが生きている意味だって、ない………





身体の持ち主の記憶は、いつだって悲愴に満ちていた。














だが、しかしだ。






今この身体には、わたしが生きている。



そう、圧倒的社畜で、重度のKQヲタクのわたしだ。





─────神様はわたしにチャンスをくれたんだ!




生まれ変わった。しかも韓国の練習生に。


つまり、KQのアイドルに会うチャンスが、与えられたんだ。




そう思うと、今にも小躍りして、全力でHALA HALAとか、Red Sunだって踊れそうだった。KQは振りの難易度エグイよね。そこが好きなんだけど。





(なまえ)
あなた
ん?踊る?



ちょっと待て。


この身体の持ち主は、曲がりなりにも練習生だ。

それも、SMの。




つまり、


(なまえ)
あなた
うぉぉ!!踊れる!!



狭い部屋ではほとんど動けないし、音も立てられないが。


その割には、この身体は素直に動く。



どうやらある程度の実力はあるらしい。




記憶をほじくり出してみると、この身体の持ち主はボーカルが得意で、ラップとダンスもそこそこできるらしい。

どうやらあがり症のようで、月末評価の結果はあまり良くないが、それはどうにかなる。
なんたって、あの首脳陣や上司の前で、縮み上がりながら何十回プレゼンしてきたわたしだ。


あれ以上に怖い経験なんて、絶対ない。











──────話が変わったな。




これは、KQエンターテインメントに入るしかない。



こんなクソ事務所さっさと辞めてしまおう。それでKQに入って、毎日推しのご尊顔を眺めるんだ。夢が広がって地球規模を突破しそうである。




──────俄然やる気が湧いてきたぞ。






生きる目標を見つけ、わたしは頬が上気するのを感じた。



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