イソップの声が頭の中で再生される
私がここに来た理由は前までの暮らしよりもこっちに来たら幸せなのではと言う軽い考えで来たこと。
人が居たら居たで私の偽りの姿でまんまと騙されていく人間を裏で侮辱しては笑い見下す
そのつもりだった
でもここに来てからは考えが変わった
今のままでは人間と同類ではないかと
ちっぽけな脳みそしかない人間と同類にはなりたくもない
挙句の果て限った人間にしか優しくできないって言う哀れな存在となった今
人間以下の無能なのだろうか
中庭の木陰に来ては木の下で小さくなって目を閉じた
冷ややかな風が当たると共に自然の香りもするこの場所はお気に入りだった
直ぐに落ち着いた
「こんな所で寝るの?貴方は」
女性の声…
瞑っていた目を開ける
横の窓のない四角に空いた枠に寄りかかっているマリー
少しどこか寂しそうなマリーを表すように段々曇り始めた空。
その中たんたんと言葉を発していった
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富と権力に対する妬みが
かの有名な逸話を生み出した
「農民は食べるパンも無い様子で」
「お菓子を食べればいいのではなくて?」
人々の訴えに女王は困惑した。
断首台に女王が繋がれても、その困惑は一層深まるばかり
「何故…どうして…」
粗末な白いドレスが少しずつ紅に染まってゆく
その時やっと女王は理解したの
王妃なんて代替に利く、単純な駒に過ぎない…
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窓枠に寄りかかっていたマリーはコツコツと足音を立てて行ってしまった
私はマリーに告げられた言葉が私の頭の中で回転する
再び私は目を瞑って夢に落ちる
編集部コメント
主人公は鈍感で口下手ではあるものの『コミュ障』というほどではないので、キャラの作り込みに関しては一考の余地があるものの、楽曲テーマ、オーディオドラマ前提、登場人物の数などの制約が多いコンテストにおいて、条件内できちんと可愛らしくまとまっているお話でした!<br />転校生、幼馴染、親友といった王道ポジションのキャラたちがストーリーの中でそれぞれの役割を果たし、ハッピーな読後感に仕上がっています。