第14話

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2026/01/12 13:10 更新
真冬

学校

真冬視点
昼休みの教室は、相変わらず騒がしい。


俺は窓際の一番後ろの席で、机を拭いていた。
真冬
…よし
三回目。
これくらいでいいだろうと思っても、手が止まらない。

少し離れたところで、女子たちが集まって話している。
その輪の中に、彼女がいた。
mob(女)
ねえ
mob(女)
真冬ってさ、冷たくない?
…またか
mob(女)
わかる。なんか距離あるよね
mob(女)
触られるの嫌がるし、近寄りにくいタイプだわ
笑い混じりの声。
慣れているはずなのに、胸の奥が少しだけ重くなる。
俺だって、好きで避けてるわけじゃない。
溶け込みたい。
普通に、話したい。


でも、うまくできない。
あなた
……そんなことないよ
その声で、空気が変わった。
mob(女)
え?
女子たちが一斉に彼女を見る。
あなた
真冬くん、冷たくないと思う
はっきりした声だった。
あなた
静かなだけだし、人のことちゃんと見てるよ
あなた
嫌なことしないし。むしろ優しいと思う
心臓が、一瞬止まった気がした。


……優しい?
mob(女)
えー、そうかな?
mob(女)
でもさ、話しかけにくくない?

彼女は少し困ったように笑う。
あなた
確かに無口だけど、
あなた
でも、それって悪いことじゃないでしょ
それ以上、誰も何も言わなかった。
話題は別のことに流れていく。


俺は、机を拭く手を止めたまま動けなかった。


……見てたのか。


俺のこと。
放課後。
廊下を歩いていると、前から彼女が来る。


俺は反射的に壁側に寄った。

距離を保つ。
あなた
真冬くん
名前を呼ばれて、足が止まる。
あなた
お疲れ様
真冬
あっあぁ…
あなた
今日さ、昼休み
一瞬、言葉が詰まった
あなた
机、拭いてたでしょ
真冬
っ…
あなた
毎日やってるよね。すごいと思う

そんなふうに言われたことは1度たりともなかった。
真冬
別に…普通だと思う
あなた
普通でも、ちゃんとしてるのはえらいよ

彼女は、俺に近づきすぎない。
  触れない距離で、そう言った。


それだけで、息がしやすくなる。
あなた
さっきのことも
彼女が続ける。
あなた
気にしないでね、
あなた
本当のこと言っただけだから

……本当のこと。
真冬
…ありがと
小さく言うと、彼女は少し驚いた顔をしてから、笑った。
あなた
どういたしまして
彼女が去った後、俺はしばらくその場に立ち尽くしていた。









教室に戻る。
相変わらず、俺の席の周りには誰もいない。



でも。

さっきまでと、同じじゃない。
真冬
もし、明日彼女が休んだら。
 もし、話しかけてくれなくなったら。



胸の奥が、きゅっと締めつけられる。

……嫌だ。
真冬
行かないで…
誰にも聞こえない声で、そう呟いてしまった。


気づいた時には、もう遅かった。


彼女が笑ってくれた教室だけが、
   俺の居場所になり始めていた。

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