第5話

episode 4
134
2025/10/20 13:46 更新







🐶side



フィリックスと別れて、
町のはずれの方へ足を進める。



「ボンド」のことを聞かれた時は

一瞬ドキッとしたけれど、

僕たちのことをバディという名前で表してくれたヒョンジナに、少しだけホッとした自分がいた。




それなりに頼りにされているのかも、と……



hj
hj
なんか今日はまだ空が明るい気がする
sm
sm
ん?空?


ヒョンジナの言葉に見上げると

その視線の先の方向の空は確かに明るかった。



sm
sm
ほんとだ…もう6時は過ぎたよね?
hj
hj
うん、そのはずだけど……


天気が崩れるのだろうか


少し不穏な空を不気味に思いつつ、2人で並んで歩く。








と、
ヒョンジナが突然足を止め、目を閉じた。




sm
sm
どうしたの?
hj
hj
待って…聞こえる、……
sm
sm
え、


そう言うと、
一体何が聞こえているのか分からずにいる僕をよそに、ますます集中を高めていくヒョンジナ。



hj
hj
何かが燃えてる、っ…あっち!!
sm
sm
っちょ!
sm
sm
そんな急に…!!




突然手を引かれ、転けそうになる。



ヒョンジナの表情はもうすでに真剣そのもので、
声の主に思いを馳せているように見えた。




──今日も始まりそうだな……


そう察したぼくもまた、集中を高め
これから直面するであろう場面に気を引き締める。





hj
hj
っ、火事!
hj
hj
集落全体が…火事だっ!



何か決定的な声が聞こえたのか、
ヒョンジナの足取りが一層早くなった。






僕たちが進むと共に
さっき見た空の明るさはどんどん増して、

ついには煙のようなものに視界が遮られる。



sm
sm
ヒョンジナ!っちょ…落ち着いて!

手が触れているから、
彼の中で焦りが膨れ上がる様子が伝わってきて
思わず声を上げた。


sm
sm
もし火事なら、ヒョンジナも危ないから!
sm
sm
ね?
hj
hj
っでも…早くしないと、火が…


会話をする間もどんどん前に進んで


ついに目の前がバっと開けた。





hj
hj
っ!
sm
sm
っ!


そこには、丸ごと火に包まれた小さな集落が──


sm
sm
っ、これは…まずい


赤く燃える塊
その勢いは凄まじいもので、


その手前にはなんとか逃げてきたであろう人達の影があった。



hj
hj
まだ…あの中に人が、声が…


今も、この光景の中で苦しむ人の声が
届き続けているのだろう。



ヒョンジナの表情は悲痛だった。


すぐにでも駆け出しそうなヒョンジナを手で制しながら、僕は、今持てる全てのエネルギーを集結させてヒョンジナに語りかける。



sm
sm
ヒョンジナ、落ち着いて
sm
sm
まずあの人達の状態を確認しよう
sm
sm
大丈夫、これだけの火事ならもう
  消火隊はこっちに向かっているはずだから
sm
sm
分かるね?


簡単なガイディングだけど、

まだ理性を保っているヒョンジナにはしっかり届いたようで、強い頷きが返ってきた。



sm
sm
行こう!


触れた手をゆっくりと離した。


ある程度の距離までなら、
何とかヒョンジナの力をコントロールできる。

僕が気をつけて見ておけば危険はない。




hj
hj
っ、大丈夫ですか!?
hj
hj
ケガ、してませんか!?


必死に声をかける彼の姿を横目で捉えながら、僕も声をかけていく。







集落の住人
あんたら…黄家の人らか!?
集落の住人
中にまだ家族が…
hj
hj
っやっぱり…!
sm
sm
消火隊も向かっているはずですから!
sm
sm
とにかく…その足をどうにかしないと、


大きな火傷を負った老人が、僕たちに声をかけてきた。


自分の服の裾を引きちぎって応急処置をするけれど、
火の中からどんどん逃げてくる人で周囲は溢れかえり
2人ではどうにもならない状況だ。





消火隊の到着があと10分後だとして、
      それまでヒョンジナが耐えられるか──


この混乱した状況では理性を保つことは難しいだろう。



sm
sm
っ、…一旦離れるか…


最悪の事態を避けるために、一度この場から離れることに決めた僕は、近くにいるはずの彼の姿を探した。


sm
sm
え…いないっ!



先ほどまでそばで声をかけ、
共に応急処置をしていたはずのヒョンジナが




見当たらない。






少し先で座り込む家族の側にも、

立ちすくんでいる人の側にも、その姿はなかった。




もしかして、と思い
未だ燃え盛る火の方へと近づいたところで


その様子をじっと見つめる彼の姿をとらえた。


sm
sm
ヒョンジナ!!
hj
hj
…っ
sm
sm
っ、だめだ!
1回離れよう!ヒョンジナ!!


──まずいっ…




そう思って声を上げた時には、もう

ヒョンジナの体は火の中へと消えていった。











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